米国、相互関税を完全適用 日本に24%、中国に計104%の関税
(VOVWORLD) - アメリカ政権によりますと、相互関税を課された約70の国と地域が交渉の開始を求めており、トランプ大統領は関係閣僚に対し、個別交渉に入るよう指示を出しています。
2025年4月2日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が発表した新たな関税措置(写真:Reuters/TTXVN) |
アメリカのトランプ政権が打ち出した相互関税の第2弾が、現地時間の9日に発動されました。対象は、貿易赤字が大きい約60の国と地域で、すでに導入済みの一律10%の関税に加え、個別に上乗せされる追加関税が適用され、これにより相互関税の完全適用が始まりました。日本に対しては24%の関税が課されます。
中国に対しては、当初の34%に加えてさらに50%が上乗せされ、すでに発動された分を含めて計104%の関税となります。これにより、第2次世界大戦後の自由貿易体制が大きく揺らぐ恐れがあるとして、国際的な懸念が高まっています。世界の株式市場も、先行き不透明感から不安定な動きを見せています。
中国外務省の林剣副報道局長は9日の記者会見で、「わが国の正当な権利と利益を守るため、断固として強力な措置を講じる」と述べ、対米報復関税のさらなる上乗せを検討している可能性を示唆しました。
相互関税は、アメリカの国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置で、長年にわたる巨額の貿易赤字や製造業の海外移転を「国家の非常事態」と位置づけ、輸入コストを引き上げることで、製造拠点の国内回帰を促す狙いがあります。
グリア通商代表部(USTR)代表は、アメリカ上院の公聴会で「例外や除外措置は設けない」と述べました。日本や中国のほか、欧州連合(EU)には20%、韓国に25%、インドに26%、ベトナムに対しては46%の関税が課されるとしています。
アメリカ政権によりますと、相互関税を課された約70の国と地域が交渉の開始を求めており、トランプ大統領は関係閣僚に対し、個別交渉に入るよう指示を出しています。
レビット大統領報道官は8日の記者会見で、「すべての選択肢が交渉の検討対象になる」と述べ、関税以外の分野も議題となる可能性を示唆しました。また、「他国がアメリカを必要としているほど、アメリカが他国を必要としているわけではない」として、国内市場の規模を背景に交渉を優位に進める姿勢を強調しました。
対日交渉については、ベセント財務長官とグリアUSTR代表が担当し、為替政策や農産品市場の開放、規制撤廃などの非関税障壁、さらに経済安全保障分野での協力についても協議が行われる見通しです。(時事通信)