9段線、または、U字線、牛舌線は、ベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海の領有権問題に関して、中国がその全域にわたる権利を主張するために地図上に引いている、9本の境界線です。
最近、中国の学者らはこの9段線を引き続き反発し、南シナ海の平和追求のため、まず始めに最も重要なことは9段線に関する問題を解決するとしています。
南シナ海は西太平洋にある海域で、その総面積はおよそ350万平方キロメートルです。中国が主張している9段線はバクボ湾、いわゆる、トンキン湾からカリマンタン(ボルネオ)島まで南下し、フィリピンの西岸まで、アルファベットの「U」の字を描くようにぐるりと囲みます。一方、中国が今年6月に発行した縦長の形の地図には 台湾の東側に1本付け加えられ、“十段線”となっています。中国のこれらの主張はベトナム東部海域を独占するためのものです。
これまでに、中国はこれらの段線の正確な縦座標や正確な位置を公開する文書や資料はまったくありませんでした。また、中国はこの9段線は線ではなく、段線になる理由を説明できませんでした。たぶん、中国は世界各国がこの段線は中国の歴史的海域や海上国境線を囲むものであることを理解したいのです。特に、1958年9月4日に発表された中国政府の声明や、1992年の領海と接続海域に関する法令、1996年の領海基線、排他的経済水域と大陸棚法などに、中国はまったくこの歴史的海域に言及していませんでした。法律的にみて、1982年の国連海洋法条約を基礎に、中国の9段線は法律と実践において理にかなわないものです。
中国が今年6月に縦長の形の地図を発表してから、中国の海洋情報研究センターの元幹部は自分のブロッグで「9段線の寿命は後何日か」という記事を掲載しました。この幹部は中国が9段線を自国の国境線とする根拠はないと強調すると共に、中国に対し、1982年の国連海洋法条約を尊重するよう要請しました。
中国が9段線を主張した直後、2009年5月、ベトナムとフィリピンは国連に対し公文書を送り、その中で、中国のこの主張を反対しました。そして、2010年7月、インドネシアも国連に公文書を送り、反対の声を挙げました。2010年7月23日、ハノイを訪問中のアメリカのクリントン国務長官は1982年の国連海洋法条約を無視して発表された中国の海洋政策を反対しました。そのほか、中国が主張している9段線はベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどこの海域の領有権争いに関連する国々だけでなく、アメリカ、日本、インドの研究者や法律家の反対も受けています。