9日、北部クアンニン省ハロン市で、DOC=海上行動宣言の履行に関する第12回ASEAN=東南アジア諸国連合と中国の高官級会議が開催されます。これは、DOC 履行とCOC=海上行動規範の作成を目指して、 ASEANと中国による恒常的な会議となっています。COCが作成されていない背景の中で、DOCはベトナム東部海域、いわゆる南シナ海を巡る緊張情勢の緩和に向けて、ASEANと中国間の法的拘束力を持つ基礎として見なされています。
DOCは2002年10月4日、カンボジアの首都プノンペンで行われたASEAN首脳会議において調印されました。これに基づき、DOCの締結国は、武力による威嚇と武力の行使によらない紛争解決、紛争を複雑化、エスカレートさせ、激化させる行動の自制、COC早期策定に向けた協議の加速などを合意しました。
DOC: ASEANと中国の努力
ASEANと中国間のDOC締結はASEAN全体と中国の努力であると言えるでしょう。
というのは、ベトナム東部海域問題に関するASEANと中国間の初の文書あるからです。
ASEANと中国の高級指導者は常にDOCの意義を高く評価しており、DOC の完全な履行とCOCの策定に向けた決意を幾度も強調してきました。2003年10月8日に、インドネシアのバリ島で、ASEAN・中国の戦略的パートナーに関するASEAN加盟諸国と中国の首脳と首相による共同宣言は「DOCの履行はASEANと中国間の安全保障の協力措置の一つである。」と強調しています。また、2010年10月ハノイで開催された第13回ASEAN・中国高級会議において、双方の高級指導者はDOCの完全な履行とCOCの策定に向けた公約を改めて強調しました。それだけでなく、DOC を十分かつ完全に履行するために、2011年に、ASEANと中国は、DOC履行のガイドラインを採択しました。これに基づき、双方は、DOC履行は関連各プロジェクトを実現させるのみならず、他の規定を十分に実施しなければならないということです。それらは、国際法、とりわけ1982年国連海洋法条約に従って、ベトナム東部海域における航行・航空の自由を尊重し、武力による威嚇と武力の行使によらず、直接関係する国による交渉と友好的な協議を通じて領土領有権を巡る紛争を平和措置解決し、平和と安定に影響を及ぼす行動を自制し、複雑化またはエスカレートさせないことを公約しました。
外交的政治的公約に加える必要がる
ASEANのレ・ルオン・ミン事務局長は「DOCの実現はまだ進展を見せていないことから、ASEANは中国側からのさらなる実質的な協力を必要としている。DOCを効果的かつ十分に実施するために、双方の外交的にも政治的にも公約に加える必要がある。その一方で、ASEAN加盟諸国はさらに努力、団結し合い、中国と共に解決策を探る必要もある」との見解を明らかにしました。
先ごろ、シンガポールで開催されたシャングリラで、ベトナム国防省のグェン・チ・ビン次官は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ASEAN共同体の役割は極めて重要です。しかし、ASEANの発言力は地域内に利益を与えるか否かは、ASEAN加盟諸国間の団結と統一に頼っています。団結・統一は言葉で言うのは簡単ですが、行動に至るまでは難しいことです。団結・統一がなければ、共通の声明はありえないからです。共通の声明がなければ、共同体の役割は無意義になるわけです。」
一方、国防省・国際協力研究院のブ・テェン・チョン院長は次のような見解を述べています。
(テープ)
「現在、ASEANはビジョンや行動及び立場を合意しています。しかし、国家的利益の問題は異なっていますがASEAN、あるいはASEANの団結にとって試練ではありません。ASEANとパートナー、中でもアメリカや中国との協力傾向の中で、ASEANと中国など直接関係する国々はCOC=海上行動規範の策定を期待していると私は考えています。」
ベトナム東部海域での現状の背景の中で、ASEANは中国と共にCOC=海上行動規範の早期策定を加速させる必要があるとしています。その間に、DOC=海上行動宣言はあらゆる紛争を平和的に解決する措置としての役割を持っています。関係各国は平和的かつ安定的な環境の維持を目指して、DOCの十分な履行を尊重する必要があります。