既にお伝えしましたように、イランのハサン・ロウハニ大統領は、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席の招きに応え、10月5日から7日にかけてベトナム国賓訪問を行っています。この訪問は両国の伝統的友好協力関係をさらに促進させるためのもので、その関係の新しい発展段階を切り開くと期待されています。
クアン国家主席の主催によるロウハニ大統領の歓迎式
イランは西アジアに位置する国です。イランの核開発をめぐって、2015年7月、イランとアメリカなど6カ国は最終合意を達成し、そして、今年1月16日からその合意を正式に展開し始めました。西側諸国の制裁措置の撤廃に伴い、イラン経済は回復を見せています。
良好な伝統的友好協力関係
ベトナムとイランは1973年に外交関係を樹立しました。イランは1991年にハノイ駐在大使館を、そして、ベトナムは1997年にテヘラン駐在大使館を開きました。2009年9月に、ベトナム・イラン友好協会が誕生しました。両国は、非同盟運動や、国際場裏で相互支援し、協力してきました。
この数年間、両国は、ハイレベルな訪問団の交換や、各レベルの協力体制を維持しています。2012年11月、当時のイランのアハマディネジャド大統領はベトナム訪問を、そして、2016年3月、当時のベトナムのチュオン・タン・サン国家主席はイラン訪問を行いました。これまで、両国は政治対話を6回、両国政府合同委員会会議を8回行ってきました。
両国間の協力は貿易、工業、農業、文化、教育などの分野で絶え間なく発展しています。両国が締結してきた農業や、水産物、教育、銀行、航空、税関などの分野での協力合意書は両国企業が連携を強化するための法的基礎となっています。
新しいチャンス
しかし、現在の協力関係は両国の潜在力にまだ相応しくないと指摘されています。具体的には、両国間の貿易額がまだ低い水準にあり、2015年におよそ1億700万ドルにとどまりました。これに関し、イラン駐在ベトナムのグエン・ホン・タイク大使は次のように語りました。
(テープ)
「今後、ベトナムはイランに農産物や、果物、履物などをさらに輸出できると思います。実際、ベトナム産履物はイランの消費者に愛用されています。一方、イランはベトナムに石油ガスや、化学物質を輸出できます。」
観光も有望な協力分野と見られています。タイク大使によりますと、現在もイラン人にとって、ベトナムは魅力的な観光地ではなく、戦争があった場所として見られています。こうした中、イラン駐在ベトナム大使館は様々な活動を行い、ベトナム観光振興を進めています。例えば、セミナーを開くことや、イラン旅行会社をベトナムに招へいすること、ベトナムに関する展示会と伝統文化披露会の開催などです。
特に、今年1月、イラン駐在ベトナム大使館は、ベトナム観光に関するドキュメンタリー映画を製作するために、イランの映画製作者らをベトナムに招きました。これは、ベトナム観光に関する初のペルシア語による映画になっています。ベトナムを訪問するイラン人観光客の数が年平均1~2000人にとどまっている背景の中で、これは有意義なものと評されています。
先ほどのベトナムのタイクイラン大使は次のように語りました。
(テープ)
「観光はベトナムとイランとの関係の突破口を切り開くものと見られます。イラン人観光客はベトナムと近いタイにも足を運んでいます。ベトナムは美しい自然風景や、文化があるので、潜在力は大きいといえます。観光を通じて、ベトナムのほかの面での潜在力に気づくことは間違いないでしょう。」
今回、ロウハニ大統領は東南アジア3カ国への歴訪を行っていますが、ベトナムは最初の訪問先となっています。訪問期間中、双方は通商・投資・観光・農業の分野における協力を強化する措置について協議するほか、共に関心を寄せいている地域と国際問題について意見交換する見通しだということです。
今年3月に行われたチュオン・タン・サン国家主席のイラン訪問と共に、今回のロウハニ大統領のベトナム訪問は両国関係に新しい原動力を作り出すと期待されています。