5日から7日にかけて行なわれているフランスのフランソワ・オランド大統領によるベトナム訪問は両国関係の発展に原動力をつけるでしょう。12年ぶりに行われるフランス大統領のベトナム訪問は両国の戦略的パートナー関係を深化させ、欧州の先進国とダイナミックな発展を遂げているアジアの国に新たな経済協力のチャンスをもたらすと期待されています。
ベトナムとフランスは1973年4月、外交関係を樹立しました。また、2013年、この関係は戦略的パートナー関係に格上げされ、政治、外交、経済、貿易、投資、科学技術、文化、教育などの分野を中心に双方の協力関係が強化、拡大されてきました。
越仏協力:多くの潜在力がある
この数年、両国の経済協力は迅速に発展しています。フランスはドイツ、イギリス、オランダ、及びイタリアに次いで欧州におけるベトナムの第5位の貿易相手国となって、2015年の双方の商取引額は42億ドルに達し、2014年と比べ、19%増となりました。その中で、フランス向けのベトナムの輸出額は29億ドルにのぼっています。また、フランスはベトナムに投資を行なっている欧州諸国の中で3位、世界の114の国・地域の中で16位に立っています。現在、実施されている投資プロジェクトは461件、額にして34億ドルを超えました。さらに、フランスは対ベトナムODA=政府開発援助を供与する欧州諸国の中でトップの座を保っています。
優先的な協力分野
これまで、両国は経済協力に関する枠組協定や投資保護奨励協定、二重課税防止協定など、協力の拡大に必要な法的裏づけとなる複数の文書を締結しました。ベトナムの投資、経営環境が改善されつつあり、また、ベトナム・EUのFTA=自由貿易協定やTPP=環太平洋経済連携協定の締結を控え、投資法、企業法が改正され、2015年末にASEAN共同体が構築された背景の中でフランスをはじめ、各国の企業経営者、投資家はベトナムへの投資促進が図られるとしています。
ピエル・ジョルノー氏
今回のベトナム訪問で、オランド大統領に同行しているフランスの軍事歴史専門家であるピエル・ジョルノー氏は次のように語っています。
(テープ)
「この訪問はフランスとベトナムがいずれも政府から地方行政、社会組織までの協力関係に新風を吹き込む原動力を必要とするタイミングに合わせて行なわれました。両国関係は長い歴史があり、多様なものですが、経済、貿易分野での協力は潜在力に見合っていないと思います。今回のオランド大統領の訪問は経済、貿易を中心に両国関係に新たな発展段階を切り開くことを目指しています。」
80年代の初頭からベトナムとフランスは教育分野で協力関係を結んでいます。フランスはベトナムとの教育養成や科学技術の協力を優先課題と見做し、フランス語教育や大学・大学院での経済管理、銀行、金融、法律、次世代技術に携わる人材育成に力を入れています。現在、フランスは東方政策を実現して、経済、貿易協力を進める傍ら、ベトナムをASEAN諸国でのフランス語教育を拡大するための架け橋として見做しています。
ジェラード・ゴ氏
法律家ジェラード・ゴ氏は次のような見解を述べました。
(テープ)
「フランスはできるだけ、政治、文化、経済、貿易などの分野でベトナムとの関係を良好に発展させていく意向があります。一方で、ベトナムはアジア地域でのフランス語普及の促進に貢献するとしています。今年、フランス国民議会議長や国防大臣などはベトナムを訪問しました。ベトナム側もフランスとの関係を強化したいと思います。フランスはアジア地域での影響力の回復に取り組んでいます。」
12年ぶりとなるフランス大統領のベトナム訪問は成功すると期待されています。この訪問はベトナム・フランス戦略的パートナー関係を具体化させ、ベトナムが東南アジアでのフランスのメイン・パートナーになるよう、双方の協力を強化するとしています。