(VOVWORLD) - 今年のシャングリラ・ダイアローグは、規定による地域の秩序の維持や、アジア太平洋の危機管理に対する新たな試練、地政学と国防政策の変化、地域安全保障の共通の基礎づくりなどを主要議題にする見通しです。
6月2から4日まで、シンガポールで、シャングリラ・ダイアローグ=アジア安全保障会議が開催されます。今回は、朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル開発のほか、ベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)問題が主要議題となる見通しです。
(写真:straitstimes.com) |
シャングリラ・ダイアローグは、イギリスのIISS=国際戦略研究所の主催により2002年から始まった年次活動で、各国の軍事力の透明性を高め、相互理解や紛争の防止を理念に掲げ、今年で16回目を迎えます。今回は、アジア太平洋地域や米欧など28カ国から国防相や外交官、専門家ら、将校らが参加します。
地域情勢
近年、アジア地域情勢は複雑に推移し、国際社会に懸念をもたらしています。中でも、朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル開発や、東南アジア地域でテロ危機、サイバー攻撃などの問題が浮上しています。
特に、ベトナム東部海域の緊張が高まっています。5月25日、アメリカのドナルド・トランプ大統領政権下で初となる「航行の自由作戦」の一環として、ベトナムチュオンサ群島所属ダバインカン礁(英語名:ミスチーフ礁、Mischief Reef)付近をアメリカ海軍のミサイル駆逐艦デューイ(USS Dewey)が航行したと発表しましたが、その海域の領有権を一方的に主張している中国は猛反発しています。
また、 中国側は5月28日、イタリアで開かれたG7=主要7カ国首脳会議が採択した首脳宣言に東シナ海や、ベトナム東部海域の情勢への懸念が盛り込まれたことについて、「強い不満」を表明し、G7諸国は無責任な発言を控えるべきだとの立場を示しました。
こうした緊張情勢の中で、今年のシャングリラ・ダイアローグは、規定による地域の秩序の維持や、アジア太平洋の危機管理に対する新たな試練、地政学と国防政策の変化、地域安全保障の共通の基礎づくりなどを主要議題にする見通しです。
シャングリラ・ダイアローグは、イギリスのIISS=国際戦略研究所の主催により2002年から始まった年次活動で、各国の軍事力の透明性を高め、相互理解や紛争の防止を理念に掲げ、今年で16回目を迎えます。 今回、アジア太平洋地域の安全保障のための効果的な方法が見出されると期待されています。
ベトナム東部海域問題
この数年間、中国はベトナム東部海域で岩礁埋め立てを進め、人工島を建設してきました。これに対し、アメリカ側は数回にわたり、自国の立場を表明してきました。オバマ政権は猛反発しながら、中国との領海紛争のある東南アジア諸国との関係強化に力を入れました。
また、ベトナム東部海域での航行の自由を確保すると公約しました。これに対し、中国側は、アメリカの干渉を必要とせず、ASEAN諸国とともにこの海域での安全保障を確保すると再三確認をしてきました。
しかし、現在のアメリカ政権は経済問題を重視し、アジア太平洋地域での国益を確保し、中国に対する経済面での障壁を強化しています。
これらは、今年のシャングリラ・ダイアローグの背景です。今年はアメリカ国防長官も参加し、演説を行う予定です。その動きはアジア太平洋に対するアメリカの政策を示すものと評されています。そして、今回、アジア太平洋地域の安全保障のための効果的な方法が見出されると期待されています。