(VOVWORLD) - 2024年の労働者月間は5月31日まで続きます。この毎年恒例のイベントでは、各級政府、使用者、社会全体が一体となって、労働者や公務員の正当な権利と利益を守り、推進することが目指されています。ベトナムでは、労働者や公務員の権利擁護が、あらゆる開発政策の最優先課題とされています。
現在、ベトナムには5200万人を超える労働者がいます。労働者の権利は人権の一部として、ベトナム共産党と国家が重視し、様々な方針や主要政策を通じてその実現に取り組んできました。
労働者の権利保障 主要方針に明記
ベトナムの人権問題は1946年以降の憲法に盛り込まれ、労働者を含む国民一人一人が発展の中心的存在、主体、目標であり、原動力であるとされています。
2021年の第13回全国党大会決議では、すべての国民に着目し、労働・雇用・所得に関する施策を確保し、社会保障制度を適切に運用し、国民の物心両面での生活を全面的に改善し続けることが明確に定められました。これを受けて、2021年6月14日付の首相令第16号は、労働者の持続可能な雇用確保、生活水準向上、労働環境改善に向けて各級政府、部門に対し、総合的な措置と解決策を講じるよう求めました。
2016年以降、ベトナム労働総連盟の提案により、首相が7回にわたり、様々な省や地域、業種の労働者や職員と直接対話を重ねてきました。席上、首相は労働者の生活や雇用に直接関わる数多くの思い、願望、要望、提案に耳を傾け、理解を深めたうえで、解決に向けた指示を出しました。
過去10年余り、ベトナムでは党の方針・路線やILO=国際労働機関の基準、国の経済社会発展の現状に合わせて、労働関連の政策や法制度が修正・補完されてきました。また、ベトナムは労使関係に関する国際条約の批准と履行に努め、ベトナムの労働者の基本的な権利を国際基準に沿って推進・保障することが狙いです。
特筆すべきは、ILOが「持続可能な開発のための働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)」の実現を掲げた「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」を発表して以降、ベトナムとILOが2006年から2021年までの3つの期間における協力プログラムの構築と締結を重ねてきたことです。2022-2026年の第4次協力プログラムについて、ベトナム労働傷病軍人社会事業省・国際協力局のリュー・クアン・トゥアン局長は次のように語っています。
(テープ)
「第4次協力プログラムでは、雇用、人材育成、社会保障の問題に引き続き重点を置き、労働者の権利と企業の権利とのバランスの確保を国際経済統合の流れや国家の持続可能な発展戦略と連携させ、国連の持続可能な開発目標に沿った形で推進していきます。2022年~2026年期のILOとベトナムの協力プログラムは、ベトナムにおけるディーセント・ワーク実現を後押しするものです。」
着実な前進が実を結ぶ
労働者の権利保障に向けた政策により、実際に積極的な成果が生まれています。ベトナム計画投資省の統計総局によりますと、年初からの数カ月で、ベトナムの労働構造が前向きに推移しています。2024年第1四半期の15歳以上の労働力人口は5240万人と、前年同期比、約17万6000人増加しました。労働力は新型コロナ前の通常の発展傾向に復しつつあります。
労働者の平均月収にも改善が見られ、今年第1四半期は760万ドンと、前期と比べ、30万ドン増、前年同期比、54万9000ドン増となっています。ほとんどの経済部門で前年同期を上回る水準にあります。都市部の生産年齢人口の失業率も2022年第1四半期以降、3%を下回る水準が続いています。
労働者の住宅需要への対応として、2024年の主要課題と対策を定める政府決議第01号は、社会住宅や労働者向け住宅の発展を強化し、「2021-2030年の間に低所得者層と工業団地労働者向けに最低100万戸の社会住宅を建設する」プロジェクトを迅速かつ効果的に実施することを求めています。2024年は約13万戸の完成を目指すとされています。
全体としては、望ましくない影響があったものの、労働政策や社会保障制度などは多くの積極的な効果を上げています。これは、ベトナムが労働者の権利の実現に力を注いできた成果の表れと言えるでしょう。