アメリカ政府の招きに応え、6日から10日、ベトナムのグエン・フ・チョン共産党書記長はアメリカ公式訪問に臨みました。ベトナム共産党書記長によるアメリカ訪問は史上初でなり、また、両国の関係正常化20周年にあたり、行なわれることから深い意義を持っています。
過去を閉じ、将来を培う
1995年以前にも、地球の半径ほど、遠く離れているベトナムとアメリカは関係を結びました。両国関係は多くのうねり、ひいては戦争を経てきました。戦争が終結してから40年が経ち、関係正常化以来20周年を前にしています。
現在、両国関係は多くの分野で互恵と相互尊重を基礎に前向きな発展を遂げています。2000年、両国は自由貿易協定を締結しましたが、2013年7月、チュオン・タン・サン国家主席のアメリカ公式訪問にあたり、全面的パートナー関係を構築しました。
2001年に、自由貿易協定を発効して以来、両国の貿易関係が絶え間なく発展しています。商取引額は1995年の4億5100万ドルから2014年におよそ360億ドルにのぼっています。そうした中で、アメリカ向けのベトナムの輸出額は300億ドルを超えました。2015年に入り、アメリカはベトナムの最大の輸出先となっています。
一方、ベトナムへのアメリカの直接投資額はおよそ110億ドルに達し、投資国の中で7位に立っています。教育分野でいえば、アメリカに留学しているベトナム人学生は1万7千人で、東南アジア諸国のトップとなっています。
また、ベトナムでのフルブライト大学の開設プロジェクトが積極的に進められています。アメリカはフルブライトプログラムやベトナム教育基金を通じて、ベトナムの研修生に奨学金の支給を継続しています。さらに、ベトナムはアメリカのエイズ救済緊急計画の優先対象国に位置づけられています。
他方、両国は2013年から2017年期の森林と平野部での気候変動対応プロジェクトを進めています。ベトナムはアメリカ軍に対し、戦争中、行方不明となったアメリカ兵の捜索を積極的に支援する一方、アメリカ政府は戦争による後遺症の克服を援助しています。
国防・安全保障分野に関し、ベトナムとアメリカは対話や救難捜索協力計画を維持しています。2014年、アメリカはベトナムに対する武器禁輸令を部分的に解除すると発表しました。去る6月、ベトナム国防相とアメリカ国防長官は防衛協力に関する共同声明に署名しました。
現在、両国はAPEC=アジア太平洋経済協力会議や、ARF=ASEAN地域フォーラム、ASEAN国防相拡大会議、東アジアサミットなどの国際場裏やアメリカ・ASEAN戦略的パートナー関係の枠内で緊密に協力しています。
歴史的訪問
これまで、ベトナム共産党は解放的な対外路線を実現して、アメリカの民主党や共和党と接触しましたが、アメリカ共産党との関係を維持しています。両国の関係正常化20周年にあたり、行なわれるグエン・フ・チョン共産党書記長の今回のアメリカ公式訪問は歴史的意義を持つと評されています。
これを機に、両国は20年間にわたる関係を評価し、今後の発展方向を定める予定です。また、これは両国にとって、率直な対話を行い、見解が異なる問題やともに関心を持つ国際問題について協議する機会となります。
なお、チョン書記長によるアメリカ訪問はベトナムの平和、独立、自主、友好、協力、全方位、多様化の外交路線を示すとともに、ベトナム共産党の指導的な役割を強調するものでもあるとみられます。