欧州と断食月におけるテロ危機

(VOVWORLD) - 近年、この神聖な行事がイスラム教過激派組織IS=イスラム国のテロ行為から悪影響を受けています。

5月27日から、全世界のおよそ16億人のイスラム教信者らは今年のラマダン=断食月に入りました。イスラム教徒にとって、ラマダンは、祈願と慈善活動のための期間ですが、今年は欧州をはじめ世界各地で、テロに関する懸念が高まっています。

欧州と断食月におけるテロ危機 - ảnh 1            イタリア警察(写真:VNA)

世界中のイスラム教徒が毎年行う「ラマダン」で、1ヶ月のあいだ、一切の飲食を絶つほか、あらゆる禁欲が課せられます。これは、家族団らんのチャンスでもあります。しかし、近年、この神聖な行事がイスラム教過激派組織IS=イスラム国のテロ行為から悪影響を受けています。

 

欧州の安全保障への影響

ラマダンが始まった27日、イスラム国は欧米などでのテロを呼びかけ、各国が警戒を強めています。その標的は、学者や、政治家などです。イスラム国は、「発生するものは残酷である」と強調しています。この呼びかけにより、欧州では、懸念が高まっています。

2016年のラマダンで発生した事件から見れば、その懸念は根拠があるといえます。同年6月12日、アメリカ・フロリダ州オーランド市に所在するナイトクラブにおいて銃撃テロ事件が発生し,50名が死亡、53名が負傷しました。続いて、レバノンや、トルコ、バングラデシュ、イギリスなどでも、テロ事件が発生し、死傷者多数が出ました。

現在、多くの欧州諸国は厳格な安全保障措置をとっており、中でも、イギリスはマンチェスターでのテロ事件などに関して、テロ警戒レベルを最高の「危機的」に引き上げたこともあります。

 

欧州内における不安

現在、欧州諸国はおよそ5000万人のイスラム教徒が住んでいます。その中で、フランスはイスラム教徒が最も多いです。次いで、オランダや、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、イギリス、イタリアなどの順です。

欧州では、イスラム教徒が現地社会に溶け込みにくいのは事実です。その原因は様々ありますが、その中で、欧州諸国の移民政策が大きな問題として指摘されています。特に、欧州諸国の人々はイスラム教徒について悪い印象があります。イスラム教徒に関する印象を問う2016年の世論調査によりますと、イスラム教徒に悪いイメージを持つ割合は高い水準にあります。

具体的には、ハンガリーは72%、イタリアは69%、ポーランドは66%、ギリシアは50%でした。特に、フランスでは、イスラム教徒立ち入り禁止区域はおよそ150箇所に上っています。これらは危険な要素と見られています。

 

今年のラマダンは?

今年のラマダンは5月27日から始まり、30日間にわたり行われます。これまで統計されてきたデータによりますと、断食月に発生したテロ事件の数は、通常の月と比べ、高い水準にあります。

アナリストらは、「イスラム国がイラクとシリアで失敗している背景の中で、イギリス・マンチェスターでのテロ事件のような攻撃はイスラム教と世界間の嫌悪感を深めるためのものでもある」と指摘しています。こうした中、今年のラマダンの状況は予断できないとしています。

ご感想

他の情報