12月1日、ペルーのリマで、地球温暖化対策を話し合うCOP20=気候変動枠組条約第20回締約国会議が開幕しました。京都議定書に代わる新たな枠組作成の交渉期限が1年後に迫っていて、各国が削減目標に盛り込む項目についての合意案づくりが主要な議題です。
(写真:danang.gov.vn)
また、温暖化による海面上昇や、干ばつなどの影響で住む場所を失う「気候変動難民」の増加が懸念される中、国際社会がどう対応するかも焦点の一つとなっています。
クリスティアナ・フィゲレス条約事務局長は開幕に先立ち、「来年のパリでの効力の高い成果に導く、みのりの多い会議になると確信している」とのコメントを発表しました。
COP20の主要議題は、新枠組の合意文書に含むべき要素、各国が国連に提出する2020年以降の目標に盛り込むべき内容、目標の妥当性を評価して引き上げる仕組みの3つです。主導権争いはすでに始まっています。
EU=欧州連合は去る10月、「2030年までに温暖化ガス排出量を1990年比で40%削減」とする目標を公表し、アメリカと中国も11月の首脳会談で新目標で合意しました。アメリカのオバマ大統領は「25年までに2005年比26~28%削減」、習近平国家主席は「2030年ごろまでに総排出量をピークにする」とそれぞれ表明しました。
米欧中がCOP20に先立って目標を示したのは、各国に合意への本気度を伝える意味が大きいとしています。日本は政府内で20年以降の目標を話し合う有識者会合が10月に始まったばかりです。東京電力福島第1原発事故後、エネルギー政策が定まらないためです。
一方、中国とブラジルの交渉団トップはアメリカと日本、欧州各国が拠出を約束した約100億ドルでは、2020年以降、途上国に資金支援が予定されている年間気候変動対策費1000億ドルをとうていまかなえないと語りました。
この批判は、NGO=非政府組織オックスファムが国連から途上国とみなされているブラジルに対し、より貧しい国々へ資金援助を始めるべきだとした意見に対する反論として表明されました。オックスファムは1990年以降、所得配分や、貧困の度合い、温暖化ガスの排出量などに基づいて計算を行っています。
同団体は、意見の中に中国を含めませんでした。オックスファムによれば、支援が約束された年間1000億ドルの気候変動対策基金だけでは、とても地球温暖化の抑制や、世界各国の気候変動対策を賄うことはできないということです。「サハラ砂漠以南のアフリカ諸国だけでも、気候変動対策として年間620億ドルの投資が必要」とオックスファムは語っています。
こうした中、途上国は合意文書や、2020年以降の目標に関して排出削減だけでなく、温暖化の被害を抑える適応策や、資金支援などを十分に盛り込むべきだと主張しています。各国の対立点は多く、交渉は難航が予想されています。