6日、マレーシアの首都クアラルンプールで開催中の第48回ASEAN=東南アジア諸国連合外相会議と関連各会議の一環として、第22回ARF=ASEAN地域フォーラムが行われました。今回のフォーラムでは、中国の希望と違って、ベトナム東部海域いわゆる南シナ海が主要議題となっています。特に、この問題に関し、ASEAN諸国は一致団結を示しています。
ARFは政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じて、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムで,1994年から開催されてきました。ASEANの中心的役割を重視する一連のフォーラムの中では最も歴史が古く、加盟国も多いです。信頼醸成の促進や、予防外交の進展、紛争へのアプローチの充実、という3段階のアプローチを設定して漸進的な進展を目指しています。
ARF22の主要議題となった海上問題
近年、ベトナム東部海域での領有権紛争は、国際社会の差し迫った問題とみなされ、地域内外の各フォーラムの主要議題となっています。2014年、ミャンマーで行われた第21回ARFでは、この問題に関する共同宣言が発表され、その中で、この海域での緊張情勢を増している中国の行動に深い懸念を示しました。
この共同宣言は、海上問題に関するASEAN諸国間の立場が隔たった中、発表され、国際社会の注目を集めました。そして、今年のARFが中国がこの海域で人工島の建設や、岩礁の埋め立てを進めている背景の中で開催されることから、海上問題は参加者の特別な関心事となっています。
問題解決に関するASEANの協調
ARFの前にも、海上問題はホットな議題となりました。中国のオウ・ギ外相は「ASEANの各会議で海上問題を取り上げることは、緊張を増し、逆効果をもたらす」と強固な姿勢を示しましたが、第48回ASEAN外相会議の開幕式で、主催国マレーシアのナジブ・ラザク首相は「領有権紛争は複雑な問題で、一カ国単独で解決できない」と反論しました。
また、「マレーシアをはじめASEAN諸国は、第48回ASEAN外相会議で海上問題を取り上げないようという中国の要求を受入れる意向がない」と強調しました。一方、ASEAN外相の共同宣言案も海上問題を国際法に従って平和的措置で解決することの重要性を強調しています。アナリストらによりますと、これらの動きはASEAN内の団結の強化や、原動力づくりに寄与するものとしています。
中国の姿勢
実際、中国はASEAN諸国の団結に懸念を示したことがあります。今年5月行われた第26回ASEANサミットはその証です。このサミットで、ASEANの指導者らは共同声明を出し、海上問題に深い懸念を示しましたが、中国はこれに反発しました。そして、今回のASEAN外相会議の前に、中国は、再び、ASEAN諸国に対し、海上問題を取り上げないよう要求しました。
しかし、地域内外諸国の猛反発を受けている中国は、「この海域での岩礁埋め立てを中止した」と発表しました。また、COC=海上行動規範の早期制定のためにASEANとの交渉を加速させることで一致したと確認しました。さらに、海上問題に関するASEAN・中国間のホットラインの設定にも合意しました。
これまで、中国がCOCの制定に消極的な姿勢を示してきたことから、最近の同国の言動は国際社会に新たな疑惑的見方をもたらしています。こうした中、今回のARFで積極的な兆が出ることが期待されています。