ドローン「ヘラ」 ベトナム人の誇り

(VOVWORLD) -広いエリアをカバーし、長時間の飛行と、小型ながらも15kgの重量物を運搬でき、多様な機器の搭載も可能。これらは、ベトナムのエンジニアによって製造されたドローン「ヘラ」の卓越した性能です。
ドローン「ヘラ」 ベトナム人の誇り - ảnh 1ドローン「ヘラ」は民生目的にも軍事目的にも使える。

南部トゥドゥック市の路地裏にひっそりと佇む小さな工場は、一見すると機械工場のように見えますが、実は有名なドローン「ヘラ」を製造している場所です。このドローンは、アメリカのドローン専門サイト「sUAS News」で、世界最高の12の優れた機能を備えていると評価されました。 その中でも、ドローン市場の既存製品をはるかに上回る基準が多くあります。例えば、最大4つのペイロードを同時に併用できること、透明性の確保、データの保護などが挙げられています。

ドローン「ヘラ」の製造メーカーであるリアルタイム・ロボティクス・ベトナム株式会社のルオン・ベト・クオック最高経営責任者は、「ドローン工場で勤務している60人のベトナム人エンジニアは、毎日のように設計、製造、ソフトウェア開発、生産、出荷前のテスト作業に追われている」と明らかにしました。

ドローン「ヘラ」 ベトナム人の誇り - ảnh 2クオック最高経営責任者

彼の当初のアイディアは、ドローンを救助・救難活動に活用することでした。というのは、ドローンは高い機動性があり、危険な事故や孤立した現場への迅速な接近が可能となるからです。しかしながら、クオックさんと共同研究者は、そのアイデアを現在の有名な商品化にするにあたり、数々の難題を解決しなければなりませんでした。それは、既存のドローンとは異なる、優れた機能を持ったドローンを製造しなければならないということです。

(テープ)

「世界の代表的なドローン設計は、4つのプロペラと胴体中央にカメラを搭載するものが一般的です。当社のドローンも4つのプロペラを備えていますが、カメラを3箇所に搭載できる点が特徴です。多数のカメラを搭載することで、一回のフライトでより多くのデータ収集が可能となります。これらは画期的な発明です。さらに、一般のドローンでは折り畳み時と飛行時の体積差が約5倍であるのに対し、当社開発の『Hera』では折り畳み時の体積を7%にまで削減しました。これにより、多くの重要分野、とりわけ軍事分野への応用が可能となります。小型化により兵士一人でも携行できるようになり、歩兵の負担軽減にも繋がります」

さらに、クオックさんは、ドローン「ヘラ」はスズメのように小型で多用途なドローンですが、起動すると4つのプロペラが砂塵を巻き上げ、ワシのように堂々と空へ舞い上がると明らかにし、次のように述べています。

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「ドローン『ヘラ』の力を端的に表すには、「スズメのように運び、ワシのように飛ぶ」という短い言葉があります。このドローンは、15kgの重量物を搭載可能ですが、同クラスの市販ドローンが4~5kgの積載量であるのと比較して、際立った性能を持っています。飛行可能エリア、飛行時間においても世界トップクラスです。具体的には飛行時間は約1時間、飛行可能距離は約15kmにのぼっています」

多数の優れた機能を備えたドローン「ヘラ」は、救護救難を必要とする対象の探査、探索に役立つだけではなく、救急医療キット、食料、飲料水、携帯電話など緊急救助物資を搭載することもできます。リアルタイム・ロボティクス・ベトナム株式会社は、2022年からの3年間の研究開発を経て、初の商用ドローン「ヘラ」の輸出を開始しました。特に、アメリカの警察、ロスアラモス国立研究所、高圧送電会社といった政府機関からの注文を受けました。今後はオーストラリア、カナダ、そして国内市場などの注文にも対応しました。

ドローン「ヘラ」の成功について、クオックさんは、設計から、製造、制御ソフトウェアの作成、生産に至るまでのすべての工程はベトナム人によって実施されたと明らかにするとともに、ベトナムが世界の無人航空機製造の重要な中心地の1つとなるチャンスに恵まれているという自信を表明しました。

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「ベトナム人エンジニアがドローン『ヘラ』のすべての製造技術を掌握していることは誇るべきです。発明から製造までの工程はベトナム人によって担われています。実際、当社は大きな機会に恵まれています。情報セキュリティ、及びデータ保護の観点から、世界のドローン市場は二分化されており、ベトナムが世界の重要なドローン製造拠点の一つとなる機会が生まれています」

絶え間ない発明と市場ニーズに応じた量産化の追求。これこそが、クオックさんとリアルタイム・ロボティクス・ベトナム社の若手エンジニアたちの戦略です。ドローン「ヘラ」に続き、現在、同社は4~5件の発明を順次、商品化しています。その一つが、2台の360度カメラを搭載可能な次世代ジンバルです。

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