ベトナム建国の祖フン王を祀る信仰 団結の基盤

(VOVWORLD) - ン王を祀る信仰はベトナム人の血となり肉となり、ベトナム人の結束力をつくっていると言えます。

ベトナム建国の祖「フン王」(Hung Vuong:雄王)の命日である旧暦の3月10日はベトナムのもっとも重要な祭日の一つです。フン王を祀る信仰はベトナム文化を支える柱の一つであり、ベトナム民族の団結を維持する重要な基盤でもあります。

ベトナム建国の祖フン王を祀る信仰 団結の基盤 - ảnh 1フン王神社祭り 

フン王を祀る信仰 ベトナム人の結束力

伝説によりますと、古代中国の伝説上の8人の帝王の子孫にラック・ロン・クアンという王子がいました。王子は山の姫、オーコーと結婚して、子供が100人できました。その100人の子供の中から、フン王が出て、ベトナム民族の最初の国家となるバンランという国をつくりました。

そのため、ベトナム人の考えでは、フン王はベトナム民族の先祖です。その意味で、フン王を祀る信仰はベトナム人の血となり肉となり、ベトナム人の結束力をつくっていると言えます。そのフン王を祀る信仰は、2012年12月6日にユネスコ国連教育科学文化機関によって「世界文化遺産」として認定されました。認定決定書には、「フン王を祀る習慣は先祖への尊敬心を示すもので、こうした尊敬の心から民族の誇りと結び付けて格上げした。」と書いてあります。国家文化遺産評議会のメンバーゴ・ドゥク・ティン博士は次のように語りました。

(テープ)

「フン王を祀る信仰の価値を理解するため、その信仰が生まれる理由について触れなければなりません。その信仰は、先祖を尊敬する心と、「水を飲むとき、井戸を掘った人の恩を思い出す」というよき伝統との結合から生まれました。」

こうした先祖への尊敬心は、ベトナム人の精神生活に欠かせない一部であり、ベトナム人同士のつながりとなっています。先ほどのティン博士は次のように語りました。

(テープ)

「これは、ベトナム人の精神の結合を象徴するものであり、ベトナム民族の団結をつくるものでもあります。ベトナムの歴史からみると、その結合と団結はベトナム民族の力となることがわかるでしょう。現在と将来においても、ベトナムの経済発展と領土保全はその力を必要とすると思います。」

フン王を祀る信仰 伝統文化の保存

ベトナム人の考えでは、ベトナム民族の発祥地とされる北部フート省にあるフン王を祀る寺院は先祖の象徴であり、神聖な土地聖地です。フン王の命日である旧暦の3月10日にフン王を祀る寺院を1度でも訪れて拝むことは生涯の希望です。そして、フン王神社の祭りはベトナムで最大の行事の一つです。数千年の歴史があるこの信仰は今もなお、大切にされています。そのため、フン王を祀る信仰は伝統文化の保存に役立っていると言えます。伝統文化の研究者グエン・カック・スオンさんは次のように語りました。

(テープ)

「フン王を祀る信仰は民族の精神的基盤です。そのため、ベトナム人はだれもが、フート省にあるフン神社に足を運べば、自分のルーツに戻るという感じがします。」

歴史の浮き沈みが大きくても、フン王を祀る信仰は代々に受け継がれています。今年のフン王の命日である旧暦の3月10日は4月14日に当たりますが、例年と同様、フン王の命日を記念する儀式は全国各地で盛大に行われています。フート省民間文芸協会のファム・バ・キエム会長は次のように語りました。

(テープ)

「フン王を祀る信仰がユネスコにより「世界文化遺産」として認定されてからこの信仰を維持・発揮するのではありません。実は数千年前から、維持・発揮されています。ユネスコによる認定は、次の世代もその信仰をさらに維持・発揮することの重要性を強調したものです。」

「どこに居ても、3月10日の命日は覚えていてね」という言葉はベトナム人誰もが心の中にあります。こうした伝統は永遠に継承されてゆくことでしょう。

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