朝鮮民主主義人民共和国労働党のカン・ソクチュ外交担当書記は6日から一週間にわたり、ドイツや、ベルギー、スイス、イタリアなど欧州歴訪を行なっています。これは、カン氏が今年4月に就任して以来、初の外国訪問となっています。
カン・ソクチュ外交担当書記(写真:RIANOVOSTI)
カン氏による欧州歴訪は孤立状態の脱出に向けた朝鮮民主主義人民共和国の努力の一つと評されています。
経済問題
フランスの世界政治に関する月刊誌の今年2月号によりますと、朝鮮民主主義人民共和国の輸入総額の中に、中国は67・2%を、韓国は19・4%を、EU=欧州連合は4%を占めています。逆に、朝鮮民主主義人民共和国の輸出活動について、中国向けは61・6%、韓国向けは20%、そしてEU向けは4%となっています。
これまでに、朝鮮民主主義人民共和国は、3箇所の特別経済地区を持っていますが、外国投資家を誘致する為、さらに19箇所を建設する方針です。その背景の中で、国際共同体による制裁令はこの計画に影響しています。
実際、韓国、アメリカ、及び中国の3カ国との外交政策の中では、朝鮮民主主義人民共和国は国家安全保障の確保と経済発展に取り組んでいますが、この3カ国に対する朝鮮民主主義人民共和国の外交政策は幾つかの難点があります。
アメリカにとって、関係改善に向けた条件は朝鮮民主主義人民共和国が核兵器の開発を放棄しなければならないということです。しかし、朝鮮側は受け入れられない状態です。
一方、韓国との関係も2008年以来、悪化しつつあります。南北朝鮮の緊張情勢は依然として続いています。
他方、中国との関係も最近、問題が発生しています。中国の習近平主席が就任後、朝鮮民主主義人民共和国よりも韓国を先に訪問したことは、二国関係が深くないことを示しています。このような中、最近、朝鮮民主主義人民共和国はロシアとの関係の改善に努力しています。
問題点
しかし、ウクライナにおける緊張情勢や、ロシアと西側諸国との関係の悪化は朝鮮民主主義人民共和国に対するロシアの関心に一定の影響をもたらしています。それらの理由で、朝鮮民主主義人民共和国は欧州との関係を深化させることにしました。
しかし、欧州諸国の指導者らは、アメリカや韓国と比べ、朝鮮民主主義人民共和国への偏見が少ないといえますが、核開発問題などは関係改善の阻害となっています。その他、欧州は深刻な債務危機を経過したため、現時点で、欧州からの支援を受けにくいと予測されています。
そして、朝鮮民主主義人民共和国と欧州は地理的距離が遠く、共通経済利益も少ないことも事実です。こうした中、アナリストらは「現時点で、朝鮮民主主義人民共和国と欧州諸国との協力強化に向けた努力は結果を収めるかを予測しにくい」との見方を示しました。
他方、朝鮮民主主義人民共和国のリ・ス・ヨン外相は国連総会出席のため9月下旬にアメリカのニューヨークを訪問するとの情報がありました。これは、朝鮮民主主義人民共和国外相として15年ぶりのアメリカ訪問となります。
外国との関係発展に向けた朝鮮民主主義人民共和国の努力が朝鮮半島情勢の安定化プロセスのための新たな原動力と見なされています。しかし、これらの努力は期待通りになるか否かは朝鮮民主主義人民共和国の善意だけでなく、多くの要素によるものと評されています。