米英首脳 「大西洋宣言」署名 特別な関係を更新するチャンス

(VOVWORLD) - イギリスのリシ・スナーク首相は7日と8日の両日、アメリカへの初訪問を行いました。8日、ワシントンでスナーク首相はジョー・バイデン大統領と会談し、「大西洋宣言」に署名しました。
米英首脳 「大西洋宣言」署名 特別な関係を更新するチャンス - ảnh 1写真提供:The Guardian

この宣言は今後の両国の経済分野での協力を深めるだけでなく、トランプ政権の外交政策、およびイギリスのEU離脱の影響により長い間、冷え込んだ両国関係に温かい風を送るとしています。

現在、アメリカはイギリスの最大の貿易相手国であり、イギリスの貿易総額の16.3%を占める一方、イギリスはアメリカにとって7番目の貿易相手国です。昨年、両国の貿易総額はおよそ3500億ドルに達しました。

小規模な経済協力合意書

宣言では貿易障壁を緩和するほか、経済安全保障を強化するため、半導体や量子技術、それにAIといった最先端技術の分野での連携を進めるとともに、電気自動車の生産に不可欠な重要鉱物の供給網を構築していくとしています。

大西洋宣言では、イギリスから輸出される電気自動車(EV)電池に含まれる核心鉱物が、アメリカのインフレ抑制法でアメリカの環境税の控除や補助金の恩恵を受ける対象になります。イギリスはこれまでもEV電池に使う鉱物などを輸出していましたが、貿易協定を結んでいないため、税控除の対象となっていませんでした。両国が核心鉱物に関する協定交渉を始めることにしたのは、電気自動車の製造時に一定の基準を満たせば税額控除を通じて補助金を与えるのと同じ効果があるインフレ抑制法関連条項の適用をイギリスも受けられるようにするためです。これにより、イギリス自動車メーカーの電気自動車も3750ドルの税額控除を受けることができるようになります。また、バイデン大統領は防衛産業分野協力の一環としてイギリスをアメリカの国防物資生産法(DPA)で規定した「国内供給源」とみなすようアメリカ議会に要請し、イギリス企業もアメリカ企業と同じようにアメリカ政府による投資の恩恵を受けられるようにしようとの趣旨です。

データ保護の分野では、イギリス企業が手数料なしでアメリカの組織にデータを送信できるようになります。

特別な関係を更新するチャンス

アナリストらによりますと、「大西洋宣言」は小規模な経済協力合意書ですが、その象徴性は高いものがあるとしています。この宣言は画期的な合意であり、冷え込んだ両国関係の復活を示すと評価されました。両国首脳は大西洋宣言を「21世紀の米英経済連携の枠組み」と説明しました。スナーク首相は「両国の経済関係が、かつてないほど強固になったことは間違いない」と語り、同宣言は「我々が今直面している特定の課題と機会に対応するもの」だと述べました。

また、「大西洋宣言は、経済協力の新たな基準を設定し、我々の経済を未来へと推進することで、国民を守り、雇用を創出し、共に経済を成長させられる」と強調しました。一方、バイデン大統領は、「特別な関係と呼ばれる米英関係は「本当に良い状態」にあり、「イギリスほどアメリカに近い国はない」と述べました。

トランプ政権の外交政策とイギリスのEU離脱の影響で米英同盟関係は多くの浮き沈みを経てきましたが、スナーク首相のアメリカ訪問を通じて、両国関係は強固なものであり、世界情勢の多くの変動の中でも新たな進展を見せることが立証されました。



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