フランスのパリ郊外で開催中のCOP21=気候変動枠組み条約第21回締約国会議は10日、議長国フランスが9日に提示した合意文書の草案について協議しました。しかし、先進国と途上国から議長草案への異論が相次ぎ、対立は解消していないということです。フランスは10日に改訂案を出す意向ですが、会期末が11日に迫る中、交渉は厳しさを増しています。
不満相次ぐ
議長草案は、5年ごとに各国の温室効果ガスの削減目標を見直し、世界全体の進捗状況も検証することを明記しています。一方で、2020年以降の途上国支援、温暖化対策をめぐる先進国と途上国間との差のつけ方など、主な対立点では複数の選択肢を示しました。中国など新興国を念頭に「先進国以外の国も自発的かつ補完的に支援してよい」とも言及しました。
議長草案への意見を聞く全体会合では、各国が草案を土台に議論を進める意向を示しましたが、途上国側は「先進国の支援に法的拘束力がない」などと不満を表明しました。EU=欧州連合が「目標達成への野心が不十分」とするなど、先進国からも問題点の指摘が相次ぎました。
絶対に遅刻できない
世界各国は、今世紀末までに、気温上昇を2度未満抑制することに努力しています。WHO=世界保健機関は地球温暖化が健康へ及ぼす影響について発表し、気候変動が原因で毎年推定14万人が死亡し、このまま放置すれば 2030 年後には死者 が倍増する恐れがあると警告しました。
その一方で、世界銀行は、地球温暖化に対する適切な対策が取られなければ、疾病の増加や作物の収穫量減少などにより、世界の貧困層が2030年までに1億人増える可能性があるとの報告書を発表しました。報告書は、気候変動が貧困撲滅に向けた努力の妨げになっていると指摘しながら、温暖化による降雨量減少や異常気象などの影響は最貧困層の人々でより大きいとしました。
人間や環境に及ぼす気候変動の影響は予想できないのは明らかです。しかし、認識を行動へとシフトさせるのは重要なことです。国際世論は、今回のCOP21で達成された合意は、気候変動対策に向けた外交的意義を持つだけでなく、全ての刻に真の決意と解決策を盛り込むと期待しています。