(VOVWORLD) -オミクロン株は最初に南アフリカで報告され、世界で感染が急拡大しています。
(写真:ロイター) |
現在、「オミクロン株」の特徴が少しずつ明らかになってきました。感染力はデルタ株より強い恐れがある一方、軽症や無症状で済む傾向も指摘されています。ただ、新型コロナワクチンを2回接種後に感染したとの報告が相次ぎ、専門家らが分析を急いでいます。
重症化リスクは不明ですが、軽症で済む傾向を示すデータもあります。欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センターによりますと、これまで、EU域内などの感染は20カ国で確認され、判明分では全員が軽症か無症状で死者の報告はないといいます。
こうした中で、米製薬大手モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスワクチンの新たな変異株「オミクロン株」について、既存のワクチンでは効果が弱く、有効なワクチンを開発するには何か月もかかるとみていることが、英紙が30日に掲載したインタビューで明らかになりました。
バンセルCEOは、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、オミクロン株に対する既存ワクチンの有効性に関するデータは2週間以内に判明するとの見通しを示した一方で、研究者らは楽観しておらず「私が話を聞いた研究者は皆、『良くはならないようだ』という感触だった」と語りました。
同氏は、オミクロン株に対する既存ワクチンの有効性に「大幅な低下」が認められるだろうと述べました。また、モデルナと米製薬大手ファイザーは、オミクロン株に特化したワクチンの開発を進めていると発表しています。
バンセル氏は、来年には自社から20億〜30億回分のワクチン供給が可能としながらも、他の変異株も依然拡散していることから、全生産分をオミクロン株用ワクチンに切り替えるのは危険だとの見方を示しました。
そして、ファイザーとともにワクチンを開発した、ドイツの企業、ビオンテックのシャヒンCEO=最高経営責任者は、アメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」とのインタビューで、「われわれの考えは科学的根拠に基づいています。もし、変異ウイルスが抗体による免疫を回避できたとしても重症化を防ぐ免疫細胞から完全に逃れることはできないだろう」と答え、ワクチンがオミクロン株に対しても、重症化を防ぐ効果がある可能性が高いという見解を示しました。
新たな感染症の流行を見据え、WHO世界保健機関の体制強化を目的としたルール作りが始まりました。政府間交渉を行う新しい会議体を来年3月までに設置し、感染症流行時に各国が取る対応を定めた「パンデミック(世界的大流行)条約」の策定などを視野に議論を進めるとしています。