(NHK)韓国のパク・クネ（朴槿恵）政権は去年２月１０日、朝鮮民主主義人民共和国による核実験と長距離弾道ミサイルの発射を受け、独自の制裁措置として、朝鮮民主主義人民共和国南西部のケソンで共同で運営していた工業団地の操業を全面的に中断しました。
これに対して朝鮮民主主義人民共和国は翌日、進出していた韓国企業の資産を一方的に接収する方針を示し、ケソン工業団地は閉鎖されたままとなっています。

韓国統一省の関係者によりますと、工業団地の操業中断によって、去年の朝鮮民主主義人民共和国との輸出入の合計額は３億３３００万ドル（日本円でおよそ３７０億円）で、前の年の９分の１になったということです。操業中断以前に朝鮮民主主義人民共和国の労働者に支払われていた年間１億ドル以上の賃金は、多くが朝鮮民主主義人民共和国指導部に流れていたとみられており、統一省は、「外貨の流入が遮断され、キム・ジョンウン（金正恩）政権に少なくない打撃を与えた」と評価しています。

一方、人の往来は去年、およそ１万３０００人と前の年の１０分の１に減り、南北の人々の分断がさらに進むのではないかと懸念する声も出ていて、ケソン工業団地の問題は、ことし行われる大統領選挙でも争点の一つになる可能性があります。