【ソウル=島崎諭生】韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の友人、崔順実(チェスンシル)被告による国政介入事件に関連し、贈賄や横領などの容疑で特別検察官チームが請求した李在鎔(イジェヨン)サムスン電子副会長(48)の逮捕状発付の可否を審査していたソウル中央地裁は19日、請求を棄却しました。韓国最大財閥のサムスングループは事実上の経営トップの逮捕をひとまず免れました。ただ、特検は今後も立件を目指すとみられ、李氏を在宅起訴するか、補充捜査を行って再度、逮捕状を請求する可能性があります。
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地裁は「現段階では逮捕の事由や必要性を認定するのは難しい」とし、贈賄の要件となる対価性や不正な請託の証明程度に争いの余地があると指摘しました。
特検は、サムスンが2015年に系列のサムスン物産と第一毛織を合併した際、物産の大株主だった国民年金公団に対し崔被告を介して青瓦台(大統領府)に圧力をかけさせ、見返りに崔被告側に計430億ウォン(約42億円)を提供したか、提供を約束したとみています。朴氏も共謀関係にあるとみて、第三者収賄罪適用などを検討していました。
地裁が贈賄の証明が不十分と指摘したことで、特検は戦略の練り直しを迫られた形です。特検の報道官は19日、「被疑事実に関する法的評価の見解に差があったと判断しています。棄却はとても遺憾でした。必要な措置を考え、揺らぐことなく捜査を進める」とコメントしました。