(写真:CNN)
(日経)トルコ国会は21日、現行の議院内閣制を廃し大統領に権力を集中させる憲法改正案を承認しました。改憲の是非を問う国民投票の今春実施が確実となりました。改憲が実現すれば、強権統治を加速するエルドアン大統領の権力基盤が一段と強まります。かつて中東民主化のモデルとみられたトルコで法の支配がさらに弱まる恐れが出てきました。
閣僚、政府高官、憲法裁判事の任命、国会解散、予算編成――広範な権限を大統領に集める改憲案に339人の議員が賛成、憲法が定める定数(550)の5分の3にあたる330の改憲ラインを突破しました。
与党・公正発展党(AKP)の現有議席は317でしたが、39議席を持つ右派野党・民族主義者行動党(MHP)の取り込みに成功しました。国民投票の日程を巡り政権幹部は「4月2日か9日が有力」と説明しています。
エルドアン氏は2003年に首相に就任し、14年に大統領に転じました。現行憲法上は儀礼的な立場でしたが、国政の実権を握り続けています。
改憲案の柱のひとつが現在禁じる大統領の政党所属を認めることです。エルドアン氏のAKP党首復帰が可能となり、選挙時の公認や党人事などの全権掌握を意味します。