【時事】稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝したことについて、中韓両政府は２９日、「断固として反対する」（華春瑩・中国外務省副報道局長）などと批判するとともに、日本政府に抗議しました。華氏は記者会見で「日本の侵略の歴史を美化する靖国神社を参拝したことは、日本の一部の人物の頑固な誤った歴史観を反映している。真珠湾（訪問）の『和解の旅』を大いなる皮肉にした」と批判しました。「侵略の歴史を正視し、深く反省し、歴史と未来に責任を負う態度で適切に対応するよう、日本の指導者に促す」と語りました。この後、同省の肖千アジア局長が、在北京日本大使館の伊藤康一公使に抗議しました。

韓国外務省は２９日、在韓日本大使館の丸山浩平総務公使を呼び、鄭炳元東北アジア局長が「強い遺憾と抗議の意」を伝えました。同省報道官は、記者会見で「日本の指導者が歴史を正しく直視し、真の反省を行動で示したときに、周辺国と国際社会の信頼を得られる」と主張しました。参拝は関係改善の努力に逆行し、不適切だと批判しました。

日韓両政府は１１月末に、韓国世論の反発が強い軍事情報包括保護協定（ＧＳＯＭＩＡ）を締結したばかりで、今後の運用に影響を及ぼす可能性もあります。ＧＳＯＭＩＡを締結した国防省は２９日、靖国参拝に「慨嘆を禁じ得ない」とした上で、「深刻な憂慮と遺憾」を表明しました。在韓日本大使館の防衛駐在官を呼んで抗議しました。
韓国紙・朝鮮日報は、稲田氏を「『女安倍』と呼ばれる安倍（晋三）首相の側近」と説明しました。聯合ニュースは、韓国世論が反発する中、対日関係改善の流れを考慮してＧＳＯＭＩＡが締結されたと指摘し、防衛相の参拝は「（他閣僚の参拝とは）深刻さの次元が違うというのが、政府の認識だ」と伝えました。