会談では、人工知能（AI）に核兵器使用の判断を委ねず、人が制御することを確認し、軍事分野におけるAI技術開発の慎重な取り組みについても合意しました。

米中両政府が発表した内容によりますと、首脳会談は約1時間40分間行われ、来年1月に退任予定のバイデン氏にとって習氏との会談は最後となりました。

習氏は会談の冒頭、今月5日に実施されたアメリカ大統領選挙に触れた上で、「米中関係の安定化を目指す考えは変わらない」と強調しました。トランプ次期政権とも対話を継続し、協力を拡大する方針を表明しました。ただし、米中経済の「デカップリング（分断）」は解決策にならないとし、トランプ氏が掲げる対中強硬政策を念頭に保護主義をけん制しました。

一方、バイデン氏は自身の政権下での米中関係の進展を評価し、「競争が紛争に発展することを防いだことに誇りを持っている」と述べました。また、「衝突回避は世界に対する我々の責任だ」として、両国関係の安定化が不可欠であるとの考えを示しました。

会談後、アメリカのサリバン大統領補佐官（国家安全保障担当）は、AIに核兵器使用の判断を委ねないことで一致したことについて、「AIの安全性や核リスク低減における重要な一歩だ」と説明しました。

会談ではさらに、朝鮮民主主義人民共和国の部隊がロシアでウクライナとの戦闘に加わった問題についても議論が行われました。バイデン氏は中国が朝鮮に対し影響力を行使すべきだと主張しましたが、習氏はウクライナでの緊張緩和に向けた努力を強調するとともに、「朝鮮半島での戦乱は容認できない」と述べました。

また、台湾問題について習氏は「核心的利益の中の核心」であり、「レッドラインだ」と従来の主張を繰り返しました。ベトナム東部海域（南シナ海）問題では、当事国同士の協議で解決すべきだとの立場を示し、アメリカの関与を牽制しました。一方、バイデン氏は「台湾周辺での軍事行動の停止」を要求しましたが、双方の主張は平行線をたどりました。（時事通信）