(VOVWORLD) - EUが域内で製造した新型コロナワクチンの輸出管理を導入する際、一時、アイルランドとイギリスの北アイルランドとの国境についても対象にしたことで波紋が広がっています。
イギリスがEUから離脱する際に結ばれた離脱協定では、紛争の歴史を踏まえて、EU加盟国のアイルランドとイギリスの北アイルランドとの国境では輸出入管理を行わないことが決められました。
一方で協定の中には、予期せぬ困難な状況が発生した場合、どちらかが一方的な措置をとることを可能にする条項があります。EUは29日、域内で製造した新型コロナワクチンに輸出管理を導入した際、この条項を適用し、アイルランド・北アイルランド国境でも輸出管理を行うことを一方的に宣言しました。EU側としてはアイルランド国境がワクチン輸出の抜け道に使われる可能性があると危惧したものと見られます。
これにイギリス政府は激しく反発。現地メディアによりますと、ジョンソン首相はEUのフォンデアライエン委員長やアイルランドのマーティン首相と電話会談し、「深刻な懸念」を表明したほか、担当閣僚がEUに対して、措置の意図と今後の方針を明確にするよう迫った上で対抗措置もにおわせました。また、北アイルランド自治政府の首相で親イギリス派のフォスター氏も強い不快感を表明しました。(TBSテレビ)