[ロイター] - 英国のメイ首相は来週29日、欧州連合(EU)基本条約(リスボン条約)50条を発動し、EUに対して正式な離脱通告を行います。首相の報道官が20日明らかにしました。将来の英国とEUの関係を決める2年間の交渉が正式に始まります。
報道官は、メイ首相の意向をトゥスクEU大統領に知らせたとしました。
(写真:EPA/TTXVN)
デービスEU離脱担当相は声明で「英国民は昨年6月、EU離脱という歴史的決断を下した。政府は来週29日、50条を発動することで離脱手続きを正式に開始する」と述べました。
ロンドン時間午前の取引で、ポンドは対ドルで一時およそ0.3%上昇していましたが、発表を受けて下げに転じ、0.2%安の1.2366ドルをつけました。
EUは交渉を開始する用意を整えており、29日の正式通知後48時間以内に、トゥスク大統領は他の加盟27カ国に交渉の指針案を送付します。これにより、交渉は5月開始となる見通しです。
メイ首相は離脱後も、通商、金融、政治面で出来る限りEUと近い関係を維持したい考えですが、完全な離脱を目指す与党内のユーロ懐疑派を満足させる必要もあります。また昨年の国民投票で残留を支持したスコットランドや北アイルランドで独立機運が高まっているのも頭痛の種です。
一方、西欧ではナショナリズムや反移民、反エスタブリッシュメント(支配階級)への支持が広がっており、EU側は英国に甘い顔をすれば他の加盟国の離脱を促しかねず、安易には妥協しづらい状況にあります。メイ首相は厳しい交渉が予想される中、国内外を納得させる条件を引き出すため、微妙な舵取りを要求されそうです。