【ブリュッセル八田浩輔】6日、欧州連合(EU)は外相・防衛相会議を開き、加盟国で構成する多国籍部隊による域外での治安維持活動などを一元的に管轄する組織の新設に合意する見通しです。EU内での防衛協力推進に消極的だった英国の離脱を見据えた動きで、複数のEU外交筋が明らかにしました。
(写真:AFP/TTXVN)
EUには常設軍はなく、テロや難民・移民の密航対策など目的別に加盟国が合意した場合に限り、各国が人員や装備を出して部隊が構成されます。新設する組織は、こうした部隊を管轄すると想定されます。当面はマリやソマリアなどで治安部隊への軍事訓練をしているEU部隊が対象となる予定です。今春をめどにEU本部のあるブリュッセルに拠点を置き、20~30人程度で構成します。
英国は原則2年を限度とするEUとの離脱交渉の期間は加盟国の立場にとどまります。組織の新設には全加盟国の合意が必要で、外交筋によりますと、紛争国の支援任務などに役割を限定し、トップに「司令官」を置かずに軍事色を薄めることで、英国の反対を回避しました。
EUでは英国が昨年6月の国民投票で離脱を決めて以降、独仏を中心にEU部隊の「総司令部」構想など防衛分野での協力を進める動きが加速しています。英国は北大西洋条約機構(NATO)との重複への懸念から協力深化には後ろ向きな姿勢で、東欧諸国の一部にも慎重論があります。