難民対応の不満解消へ=「IS大規模テロ」に衝撃-独
アニス・アムリ容疑者=AP
【時事】ベルリンのクリスマス市にトラックが突入し、12人が死亡したテロは23日、チュニジア人の容疑者がイタリアで警官に射殺され、一応の区切りが付いた。容疑者はドイツで難民申請を却下され、チュニジアに送り返されるはずでしたが、手続きが滞っていました。メルケル政権は難民対応への国民の不満を解消するとともに、テロ再発を防ぐため、送還を加速させる決意です。
今回の事件では、容疑者と思われる男が過激派組織「イスラム国」(IS)指導者に忠誠を誓っていたことが判明されました。IS支持者がドイツで多くの命を奪った初のテロとみられ、同国内に衝撃が広がりました。政府による従来のテロ対策が不十分だったという事実を突き付けられ、メルケル首相は23日、記者団に対し「問題のあらゆる側面を分析し、いち早く(対応改善の)結論を提示する」よう関係当局に求めたことを明らかにしました。
射殺されたアニス・アムリ容疑者(24)は、昨年7月にドイツへ入国し、難民申請が却下された後も少なくとも六つの偽名を使って送還を免れていました。ドイツはこれまで、難民の流入抑制や犯罪対策のため、難民として認められなかった人々の送還を重視しています。対象者は16万人を超えるが、身元証明ができないとして出身国側が引き受けを拒む例も目立つということです。チュニジア政府も、容疑者について「国籍保有者ではない」と主張してきました。