山崎 こんにちは、山崎千佳子です。ベトナム南部のメコンデルタ地域にある
アンザン省チャウドック市は「マムカー」が有名ということなんですが、アンさん、マムカーというのは何ですか?
アン はい、直訳すると「マム」は「発酵食品」、「カー」は「魚」です。
山崎 じゃあ、マムカーは魚を発酵させた食べ物という意味ですね。今日は、このマムカーについてお伝えします。
アン マムカーで有名なアンザン省のチャウドック市はカンボジアとの国境沿いに位置します。この地方には中国系の人々や、チャム族、クメール族などが住んでいます。チャウドックの名産品「マムカー」は今から100年前に作られたと言われています。この地方の「マムカー」は独特です。
山崎 どうしてチャウドックはマムカーの名産地になったんですか?
アン ティエンザンとハウザンという川の上流に位置する街なので、魚が多くとれるからでしょう。
山崎 なるほど。材料が豊富なんですね。
アン そうです。川に生息しているすべての魚が「マムカー」の材料となります。マムカーの名前で原料の魚がわかります。
山崎 どんなふうにですか?
アン 例えば「ロック」、これは日本語にすると「雷魚」ですが、「ロックマムカー」は、発酵雷魚です。
山崎 わかりやすいですね。
アン そうですね。名産地のチャウドックですが、チャウドック市場にある店の半分は「マムカー」の店です。すごい数ですから、ここに来た人は、その独特の匂いと発酵が進んで赤茶になったその色を忘れることはないと思いますよ。チャウドック市場には百種類ほどのマムカーが売られています。ここでマムカーを売っているグエン・ティ・アイン( Nguyen Thi Anh) さんの話です。
(テープ)
「チャウドックの特産品は、マムカーや魚の干物などです。チャウドックに来た観光客はマムカーをたくさん買っていきます。特に、陰暦の1月から4月まではチャウドックでお祭りが多く行われるので、観光客も多くなります。みんな、マムカーを買っていますね。」
アン チャウドックの人によると、どんな魚でもマムカーの材料として使うことができるということですが、美味しいマムカーを作るためには、新鮮な魚、それも身が固いものを使った方がいいそうです。
山崎 マムカーの原料となる魚は一年中獲れますが、7月から11月までの洪水の多い時期がベストシーズンだということです。漁獲量が多くなるそうです。家族でマムカー作りを専門に行っているグエン・ホアン・フォン( Nguyen Hoang Phong) さんは「独自の作り方で、自分たちのマムカーが広く知られるようになった」と話します。
(テープ)
「調理せずにそのまま食べるマムカーもあれば、なべに使うものもあります。うちではマムカーの材料となる魚を洪水の季節に買い入れて、塩漬けにした後、炒った米粉とニョクマムに漬けて発酵させます。それを、発酵がすすんだ3か月後に販売します。」
アン 今日のハノイ便りは、アンザン省チャウドック市の名産品「マムカー」について、お伝えしています。ここで一曲、お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「Diep khuc mua xuan」をお送りしました。
山崎 チャウドックの行政府は、マムカーを専門に作っている企業や家庭を支援しているということです。それによって、チャウドックのマムカー生産が発展して
きているそうです。
アン 具体的には、マムカーの商標づくりを進め、マムカー生産に新しい設備や技術を導入しました。マムカーの生産コストが抑えられ、できあがった物の
品質と衛生も保たれています。
山崎 アンザン省を訪れる観光客は、おみやげやプレゼントとして、必ずと言っていいほどマムカーを買うそうです。こういったことから、マムカーがベトナム各地でよく知られるようになっているということです。チャウドック市場を訪れた観光客の話です。
(テープ)
「ここで、知り合いへのプレゼントとしてマムカーを買いました。チャウドックのこの名物はとても美味しいです。今までいろいろなところへ出かけましたが、マムカーの市場があるのはチャウドックだけです。目で見るだけで、美味しいのがわかり
ます。」
アン チャウドックをはじめ、ベトナム南西部の食文化にマムカーは欠かせません。チャウドックのマムカー作りが、これからも発展していくことは間違いなさそうです。
山崎 そうですね。マムカー、機会があれば、私もチャレンジしてみたいと思います。では、おしまいに、一曲お聴き頂きましょう。「~」です。
(曲)
「Mua xuan yeu thuong」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、アンザン省チャウドック市の名産品「マムカー」についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。 Chao cac ban。