オドゥ族の言葉の保存



山崎  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。先週のハノイ便りは、少数民族の言語の保存活動についてお伝えしました。

山崎 世界の言語が少なくなってきているという傾向と同じで、ベトナムの少数民族の言葉も消滅の危機にあるものがいくつかあるということでした。

ソン はい。今日はその中の一つ、オドゥ族の言葉の保存についてお伝えします。

オドゥ族の言葉の保存 - ảnh 1

山崎 オドゥ語も音声図書館にデジタル保存されているんですよね。

ソン そうです。ハノイ国家大学の中にある少数民族言語音声図書館に保存されています。

山崎 オドゥ族の人はどの辺に住んでいるんですか?

ソン ベトナム中部のゲアン省です。およそ400人しかいません。オドゥ族は、ベトナムで人口が極端に少ない民族の一つなんです。

山崎 一番少ないですか?

ソン いえ、一番少ないのは、北部山岳地帯のディエンビエン省に住むシラ族という民族です。2012年の統計で人口は200人でした。

山崎 200人?言語もそうですけど、民族自体がなくなってしまう心配もありますね。

ソン そうなんです。それぞれの少数民族の文化がなくなる恐れもあるんです。

山崎 今日取り上げるオドゥ族は、全人口の400人が同じ場所に住んでいるんですか?

ソン はい。ゲアン省トゥオンズオン県のバンモンという集落に居住しています。ベトナムの少数民族の中でも人口の多いタイ族と同じように、高床式の家に住んでいます。衣服や笛、ドラ、太鼓など伝統的楽器も、タイ族と同じものです。

オドゥ族の言葉の保存 - ảnh 2

山崎 でも、言葉は違うんですね?

ソン 別です。が、オドゥ族だけで固まって住んでいるわけではなくて、タイ族やベトナムで一番多いキン族も周りに多いので、オドゥ語を話していないんです。

山崎 なるほど。公用語のベトナム語やタイ族のタイ語を使っているんですね。オドゥ族の男性の話です。

(テープ) 

「現在、オドゥ族の子供たちはオドゥ語を話せません。民族の言葉を話すのは、お年寄り数人だけです。子供の親もオドゥ語を使っていないから、子供も話せないんです。自分たちの言語を使えなくなっていることが心配なので、オドゥ語の復活に取り組んでいます。」

山崎 統計によると、現在、ゲアン省で、オドゥ語を話せる人は5人ということなんですね。この全員が70代、80代のお年寄りだそうです。しかも、使っている単語は100程度ということで、言語が衰退してきているようです。

ソン ゲアン省トゥオンズオン県、文化スポーツセンターの副所長はこのように話しています。

(テープ) 

「オドゥ語を話すお年寄りでも、その会話のすべてがオドゥ語というわけではありません。公用語のベトナム語やタイ族の言葉を混ぜて使わないと話せないんです。」

ソン ちょっと複雑ですね。

山崎 そうですね。ミックスというのは言語能力が一番衰退してしまうような気がします。ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

山崎 「~」をお送りしました。

ソン オドゥ語の現状を目の当たりにして、トゥオンズオン県は2010年からゲアン省の関係機関と協力して、オドゥ語教室を開きました。あるオドゥ族の女性は「この教室に参加してから、日常生活でオドゥ語を話せるようになった」と言います。

(テープ) 

「ご飯とか豚肉とか簡単な言葉しか知りませんが、普段、友達と話す時には、オドゥ語を使っています。知らない言葉があれば、お互いに質問します。オドゥ族の言葉がなくならないように、教室がたくさんできたらいいと思います。」

ソン オドゥ族が住む集落の行政幹部(Mac Thi Tim)によりますと、専門家とゲアン省がオドゥ語の教科書や資料を準備中だということです。

(テープ)

「私自身、挨拶などシンプルなオドゥ語ならわかりますが、それ以外はまったくです。子供たちにはオドゥ語を学ぶように言っています。ぞれぞれの家庭に黒板のようなものがあるといいですね。毎日そこに新しい言葉を書いて暗記して、実際に使うんです。家の中で、できるだけオドゥ語を使うべきです。」

ソン オドゥ語の学習には住民の努力だけでなく、行政府による効果的な施策も必要と話すトゥオンズオン県、文化スポーツセンター副所長(Tran Quynh Hoa)のコメントです。

(テープ

「若い世代はオドゥ語を学ぶ意欲がありますが、一番大事なのはオドゥ族の人たちが日常生活でこの言葉を使うことなんです。」

ソン ゲアン省に住むオドゥ族が、ゲアン省の主催で、ラオスのオドゥ族と交流できるようになりました。

山崎 それはいいですね。ラオスに住むオドゥ族の人たちは、みんなオドゥ語で生活しているんですか?

ソン はい。言葉を始め、多くの伝統文化を守っているようです。ラオスの人たちとの交流が、ベトナムのオドゥ族の文化の保存につながるといいと思います。

山崎 そうですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。

今日のハノイ便りはベトナムの少数民族、オドゥ族の言語の保存についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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