(VOVWORLD) - この 1 年間、週に 3 ~ 4 回、若者たちが川や湖に集まってゴミを掃除し、ハノイの多くの川や湖に清潔さと緑が取り戻されました。彼らは「グリーンハノイ」というグループのメンバーで、自分たちの若さと環境への愛情をもって、首都をより緑にあふれ、より清潔に、より美しくすることに貢献することを願っています。
ハノイにとって有意義な貢献をした「グリーン ハノイ」は、2023年12 月 3 日ハノイで 行われた「全国ボランティア賞2023」を受賞した 10 団体のうちの 1 つとなりました。
ハノイの名前を漢字で書くと、「ハ」は河川の河、「ノイ」は「内」で、河川の内側に町があるという意味です。これはかつてハノイが紅河とトーリック川に囲まれていたことに由来しています。現在、ハノイには多くの川と湖が残っており、これはハノイの美しさの一つとなっているとされています。
ゴミ拾いをしている「グリーンハノイグループ」のメンバー |
しかし、ハノイ市の既存の排水・下水施設の多くは 1954 年以前に造られたもの であり、老朽化して、流下能力の減少が著しいものです。またハノイ市には下水処理場がなかったため、深刻な経済的損失を伴う、浸水・氾濫がいくども市街地区で発生し、周辺の河川、 湖沼の水質に悪化が生じていました。
現在、紅河、トーリック川、ヌエ川の3つがハノイ市を流れていますが、その中で、工業排水と家庭排水の両方が直接川に放出されるため、トーリック川とヌエ川はひどく汚染されています。こうした事態を前に、「グリーンハノイグループ」はハノイの河川の「復活」を目的に発足しました。
正午前、グリーンハノイグループのメンバーたちは、ハノイ市ハドン区キエンフン地区を流れるヌエ川のほとりに集まって、役割分担をし、防護服を着用しました。作業に先立ち、グループリーダーのグエン・ティエン・フイさんは作業を割り当て、川のゴミを集める過程で怪我をしないように注意するようグループのメンバーにアドバイスしました。
(テープ)
「水の中を歩く男性は防護服を着用する必要があります。ほとりにいる女性はブーツと手袋をしっかりと着用してください。調査したところ、川底に針や陶器の破片がたくさんあります、皆さん十分に注意してください」
潜在的なリスクを多く伴う作業のため、グループのメンバーは全員、手袋、ブーツ、防護服などを装備しており、さらに重要なことは、破傷風の予防接種を全員が受けていることです。
(現場の音)
このようなリスクのある汚染環境でゴミの清掃をしているにもかかわらず、グループのメンバーたちはいつも笑いながら、熱心に活動しています。グループの作業セッションは通常、正午にはじまり、午後 5 時に終わります。約 4 ~ 5 時間続きます。「どこに行ってもいつもきれいに」という方針のもと、小分けして掃除をし、ビニール袋1枚も残さないように心がけています。「グリーンハノイグループ」は、トーリック川やヌエ川など汚染された川や運河、そして長年廃棄物の未処理のまま放置されている池を優先しています。
グループリーダーのグエン・ティエン・フイさん |
グループリーダーのグエン・ティエン・フイさんは、「グリーンハノイグループ」を設立するアイデアについて語りました。長年の友達であるレ・ミン・ヒエウさんと汚染された川と湖をきれいにするという夢を共有していました。その夢を実現するために、2人は昨年末に会社員の仕事を辞め、オンラインでの仕事に切り替え、家の周りの溝のゴミ拾いに参加するよう周囲の友人を説得しました。ゴミ拾いは二人によって記録され、過去の記録を保存するだけという考えからソーシャルネットワークに投稿しました。しかし、予想外の成功を収め、ゴミ拾いに関する二人のクリップは多くの人々の注目を集めました。それが「グリーンハノイグループ」の誕生のきっかけでした。フイさんの話です。
(テープ)
「ハノイの川や運河の汚染を目にしました。私は環境を愛するもののひとりですが、まだ若さがあります。だからこそ私はハノイに貢献したいと思っています。私は、若いボランティアや学生たちにゴミ拾いへの参加を呼びかけ、私たちは彼らと一緒に川や運河を掃除する『グリーンハノイグループ』を設立することにしました。私の願いは、ビデオクリップを通じて見る人の考え方に影響を与えることです。ビデオで私たちがこのような川や運河で4〜5時間ゴミ拾いをするのを見た人は環境保護をさらに意識するようになるでしょう」
「グリーンハノイグループ」は毎週 4回、川や運河でのゴミ拾いをします。地形や廃棄物の量に応じて、10人~20人のボランティアが数時間または丸一日ゴミ拾いをしなければなりませんが、完了するまでに数日かかる場合もあります。先ほどのフイさんは次のように語りました。
(テープ)
「ゴミの平均量は地域によって異なります。ごみ拾いをするボランティアが多いときは、重さ約20キログラムのゴミ袋が100袋出ます。ボランティアが少ないときは、ゴミの少ない場所でも30〜40袋ほどになります」
「グリーンハノイグループ」は設立以来、ハノイに暮らす何百人もの若者にゴミ拾いへの参加を呼びかけてきました。同グループのメンバー レ・ティ・イエン・ニーさんは次のように語りました。
(テープ)
「川でゴミを拾っている人たちを見て、私も一緒に行動し、環境を守るために手を取り合いたいと思いました。初めて川でゴミ拾いに行ったときは、こんな作業をしたことがなかったのでとても怖かったですが、その後は、怖ければ怖いほど、その恐怖を克服する努力が必要だという思いになりました」
「グリーンハノイグループ」の取り組みは多くの市民からよい評価を受けています。
(テープ)
「彼らは素晴らしいです。若いのに、環境保護の意識を持ってゴミ拾いを熱心に行ったからです」
(テープ)
「本当に彼らを尊敬しています。水はこのように汚染されていますが、それでも川の水の中に入ってゴミ拾いをしました。彼らはとても社会に役立つ活動をしていると思います」
汚染された川や運河に何時間も浸かなければならない「グリーンハノイグループ」のメンバーたちは、自分たちが遭遇するリスクや、自分たちの健康に直接影響を与える潜在的な危険性を誰よりもよく理解しています。しかし、彼らが常に信念を持ち、環境保護の意識を社会に広めたいという希望を持って、この活動は今も続けられています。