ベトナムの少数民族の一つであるチャム族はベトナム中部ニントゥアン省とビントゥアン省を始め、フーイエン省、ビンディン省、南部アンザン省、テイニン省、ホーチミン市に居住しており、総人口は16万人を超えています。

チャム族は居住地によって宗教や文化が異なりますが、ベトナムのチャム族はおおむね仏教徒で、カンボジアのチャム族はイスラム教徒です。また、2世紀末に中部ベトナム以南の海岸沿いにインド文化の影響の著しいチャンパ王国を建て、ヒンドゥー教や仏教を信仰しています。

現在、チャム族の多くの人々はチャム族の伝統的文化の維持、保存に力を入れています。その中にビントアン省トゥイフオン県に住むトゥン・スアン・ヒュさんとビントアン省バクビン県フアンタイン村に住むウック・ベト・ボンさんがいます。

チャム族の伝統的文化は建築物、彫刻作品だけでなく、風俗習慣、祭り、宗教、言語、音楽などでも示されています。

現場の音  

ビントアン省トゥイフオン県に住むトゥン・スアン・ヒュさんは自宅で村の子供たちにチャム族の古い文字を教えています。ヒュさんの家には書籍がいっぱいに並んでいます。

幼い時から、ヒュさんは村にある先生からチャム族の古い文字を教わってきました。ヒュさんは本を読むことが好きなので、チャム族の伝統的文化に関する知識が徐々に身に付いたわけです。近年、ヒュさんはチャム族の風俗習慣や祭り、伝統的儀式などを記録したり、有形無形文化遺産を収拾したりしています。

今はだいぶ歳を取りましたが、チャム族の伝統的文化の研究を続けています。これにより、ヒュさんはチャム族の文化にかかわる貴重な現物を所有しています。ヒュさんは「チャム族の古い言葉で書かれた書籍がわずかに残されているので、大切にしなければならない。」と明らかにし、次のように語りました。

（テープ）

「今まで、昔から伝わっているチャム族の多くの古い書籍を収拾して、保存しています。次の世代もチャム族の伝統的文化を理解できるように、今後も、引き続きチャム族の伝統的文化にかかわる現物を収拾します」

一方、ビントアン省バクビン県フアンタイン村に住むウック・ベト・ボンさんもチャム族の伝統的文化の維持、保存に情熱を注いでいます。チャム族の文化展示センターで仕事をしているボンさんはチャム族の伝統的文化にかかわる現物の収拾に多くの有利な条件に恵まれています。

ボンさんはチャム族の多くの伝統的祭りに参加し、チャム族の文化にかかわる現物を収拾してきました。その他、ボンさんはチャム族の各家庭に赴き、チャム族の人々に対し、チャム族の伝統的文化にかかわる古物をチャム族の文化展示センターに寄贈するよう働きかけました。

ボンさんは伝統的文化に関する現物の収集と研究の他、チャム族の民謡や宗教の儀式で公演された音楽を録音しました。ボンさんの話です。

（テープ）

「チャム族の文化展示センターで勤務している私はベトナム共産党と政府はチャム族の文化保存活動に深い関心を寄せていることが分かりました。ビントアン省の行政府も陶器と手織物生産というチャム族の2つの伝統的職業の維持、発展に配慮することを望んでいます。現在、この2つの職業に従事している人々の数が日増しに少なくなっているからです」

ボンさんと同僚の取組により、チャム族の文化展示センターで展示されている品々が日増しに増えています。現在、同センターでは昔から現在に至るまでのチャム族の生活にちなんだ300点の品々と200点の写真が展示されています。これはチャム族の文化を愛好している人々を誘致し、チャム族の若い世代への伝統的文化の教育に寄与しています。