ハロン市の「ことばのいらない理容室」

(VOVWORLD) - 世界遺産ハロン湾で世界的にも知られている東北部クアンニン省ハロン市の中心部に特別な理容室がありますが、その店のオーナーもスタッフもみな、生まれつきろうあ者です。若い店主バン・カク・フアンさんはその運命を乗り越え、ヘアスタイリストになりたいという夢の追求を決意しただけでなく、自分と同じような身の上にある多くの人々にその技術を教えています。
ハロン市の「ことばのいらない理容室」 - ảnh 1「ことばのいらない理容室」

カク・フアンさんの理容室に足を踏み入れると、穏やかなメロディーの音楽が流れるリラックスできる空間が広がっています。声はなく、笑顔だけ。オーナー、スタッフ、ゲストは文字、写真、手話を使ってコミュニケーションします。

理容室の常連客であるグエン・ティ・フンさんは、毎日のように出勤前にシャンプーとヘアケアのサービスを利用しに来てくれています。フンさんは、「障害者の理容室という理由で足繁く通っているのではない。サービスの質が満足できるものだから、この6年間ずっと利用している」と述べ、次のように語りました。

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「初めてここに来た時も、サービスの質がとても良いと思いました。それ以来、ここへ来た時は、いつも質の高いサービスを受けて、満足しています。騒がしい環境で仕事をしていますが、ここに来るととても静かでリラックスでき、私の好みにぴったりです」

フンさんはヘアケアなどの質に満足しているだけでなく、スタッフの態度も印象的だといいます。

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「スタッフの対応もとても良いです。例えばうっかりお客さんの体に水をかけてしまったらとても心配してくれるし、すぐタオルで拭いてくれるなど、とても良いと思います」

フンさんのように、多くの顧客はカク・フアンさんの理容室に来るたびに、「私は耳が聞こえない。必要なときには肩をたたいたり、電話にメモしてください。」という看板を見て、いつも感動します。そして、ここのサービスを受けた後は誰もが満足感を持っています。

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「この理容室はスタッフが全員聾唖者なので、とても特別です。特に、そのオーナーカク・フアンさんは熟練した理容師で、いつも心を込めて熱心に仕事をしています。私はここで髪をすべて整えてもらっています。とても心地よい理容室ですね」

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「店主のカク・フアンさんはとても素晴らしい理容師で、毛髪ビジネス業界における『黄金のハサミ』と例えられています。この店の顧客サービスもとても良いです。他の理容室に行ったこともありますが、サービスはここほどではないと感じます」

「ことばのいらない理容室」のオーナー カク・フアンさんは、母親が早くに亡くなったため、父親が男手ひとつで頑張って育てられました。14歳になる2007年に、特別な事情のある児童のための施設に入りました。2012年にフアンさんは美容に情熱を持ち始め、自分の理容室を開くことを夢見ていました。理容室をひらくことによって自分と同じ状況にある人の雇用も作り出すことは、この夢を現実とすることに取り組んできたカク・フアンさんにとって原動力の一つとなりました。2016年、その夢が叶いました。今では、カク・フアンさんの理容室は、地元に暮らすろうあ者はもちろん、遠い地方からきた人も雇っています。クアンニン省のソーシャルワーカー、ホアン・ティ・ニャ・フオンさんは次のように語りました。

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「この理容室で働いている人たちは全員がハロン市出身というわけではありません。ハイ ハやダム ハ、ティエン イェン、バー チェ、モン カイなどほかの地方から来た人も多いです。ここに来るのはとても遠いので、ろうあ者にとっても非常に大変でした。そのためか、彼らはとても頑張っています」

カク・フアンさんは自分の夢を実現するために懸命に努力する一方で、ろうあ者コミュニティを熱心に支援し、同じ状況にある多くの人々の夢の現実化を手助けしています。「ことばのいらない理容室」の設立以来、カク・フアンさんは毎年数十人のろうあ者に理容師の技術を教えています。その中には、技術を習得して自分のお店を開き、独立して生計を立てている人もたくさんいます。クアンニン省のソーシャルワーカー、ニャ・フオンさんは、カク・フアンさんのやったことは、同じ状況にある人々にとって非常に意味のあるものだったと述べ、次のように語りました。

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「カク・フアンさんの理容室は、自分の生計に悩んでいる人や、この職業に就いたばかりの聴覚障害者にとって、本当に意味のある場所です。この理容室では、彼らは、自分がこの仕事に向いているかどうかを知る機会があり、将来の生活を維持するために適した仕事を見つけることができます」

美しい髪と幸せな笑顔をみんなに届けたいという単純な希望を持つ、カク・フアンと「ことばのいらない理容室」のスタッフは、多くの人々にポジティブなエネルギーと楽観主義をもたらしています。「ことばのいらない理容室」の隣人であるグエン・ティ・シンさんは、この店が開かれて以来、近所のみんながカク・フアンさんと理容室のスタッフを愛していると語りました。なぜなら、彼らは誰もが非常に熱心に仕事をし、幸せに暮らし、自分の欠点について自意識過剰ではないからだとしています。

カク・フアンさんは、自分の職業に対する献身、そして同じ状況にある人々と分かち合う精神により、クアンニン省の社会保護局から何度も表彰され、賞状を受けました。彼は、障害のある若者が上昇志向を育み、働いて自活し、社会に貢献するための模範となっています。

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