ベトナムの身近な話題をお伝えするハノイ便りの時間です。
山崎 こんにちは、山崎千佳子です。今週もアンさんとハノイ便りを進めていきます。アンさん、よろしくお願いします。
アン お願いします。
山崎 今日の話題は、ハロン湾の保全活動です。20年前の1994年、ベトナム北東部にあるハロン湾が、ユネスコ、国連教育科学文化機関によって世界自然遺産として認定されました。
アン ハロン湾は、ベトナム中部にある古都フエに次いで、ベトナムで世界遺産として認定された2番目のものです。
山崎 ユネスコの規定とガイダンスによって、世界遺産の管理や保存を行うプロジェクトは、ベトナムにとってハロン湾が初めてのものです。ハロン湾を抱えるクアンニン省は、その保全活動で一定の成果を収めているようです。
アン ハロン湾が世界自然遺産として認定された直後、その保存と価値を活かすための多くのプランが考えられました。
山崎 クアンニン省は、ハロン湾そのものの保全だけでなく、地元の経済や観光の発展にも、世界遺産の強みと可能性を有効利用する計画です。
アン クアンニン省人民委員会のブー・ティ・トゥ・トゥイ副委員長によりますと、20年という年月は決して長い時間とは言えないものの、世界遺産であるハロン湾の保全活動はトータルに、客観的に見ても評価できるということです。トゥイ副委員長の話です。
(テープ)
「今後、クアンニン省はハロン湾の世界遺産としての保全をより推進していくため、国際的な協力を進めて、ベトナム国内外の人々と組織の援助を活用します。生態系を含めた環境保護と共に、世界遺産の価値をPRすることに重点を置きます。」
アン 現在、クアンニン省では850の宿泊施設があります。観光船、遊覧船などは500隻(せき)、観光業に携わる企業は40社です。数多くのレストランやショッピングセンターもあります。
山崎 しかし、観光に関するインフラが急速に整備されてきたクアンニン省での環境保全と、世界遺産としての景観を守るのは簡単ではないようです。
アン ハロン湾での観光産業の発展は、この世界遺産の保全にマイナスの影響を与えています。そのため、環境を守りつつ、一時的なものでなく持続的な観光化を考える必要があります。
山崎 今日のハノイ便りは、世界遺産であるハロン湾の保全活動についてお伝えしています。ここで、一息入れましょう。一曲お送りします。「~」です。
(曲)
「Khuc hat quan ho tren vinh Ha Long 」をお送りしました。日本のJICA、国際協力機構はクアンニン省と協力して、ハロン湾の保全活動に取り組んでいます。
アン ハロン湾の中にある漁村の人々と観光客の環境保護に関する意識を高めるための様々なプロジェクトが、実施されてきました。例えば、2009年から2012年まで、JICAが「ハロン湾における住民参加型資源循環システム構築支援事業」というプロジェクトを行いました。これによって、廃棄物の水上輸送システムが作られて、その活用方法も確立されました。
山崎 このプロジェクトのリーダーを務めた大阪府立大学大学院 工学研究科の 大塚 耕司(おおつか こうじ)教授は、「世界遺産の保全には、その遺産を管理する人々の意識と認識が非常に重要」とし、次のように話しています。
(日本語のテープ)
アン ハロン湾を訪れたことがあるベトナム国内外の観光客からは「ハロン湾の観光産業は、サービスも少なく、プロ意識に欠けている」という意見が多くなっています。特に、ハロンならではの観光サービスは、ほとんどないですね。
山崎 ベトナム観光総局のグエン・バン・トゥアン局長は「クアンニン省は、ハロン湾の観光PRを促進すると同時に、独自の観光サービスを開発しない限り、ハロンの観光業は発展できない」と述べています。
(テープ)
「ハロン湾の環境が保護されなければ、生態系は破壊され、訪れる人もいなくなるなど、多くの被害を受けます。一方で、ハロン湾はベトナムの有名な観光地ですから、環境保全と共に、観光スポットとしてのPRをさらに強化しなければなりません。」
山崎 世界自然遺産のハロン湾の価値は、ベトナムだけでなく、世界的なものと言えるかもしれません。その貴重さをいい意味で活用しながら、ユネスコの基準によって保存することは、クアンニン省だけでなく、関係する各機関や地方の努力が欠かせません。
アン そうですね。では、おしまいに一曲お聴き頂きましょう。「~」です。
(曲)
「Ha Long bien nho」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、ハロン湾の保全活動についてお伝えしました。
それでは、今日はこの辺で。 Chao cac ban。