(VOVWORLD) - 中国の雲南省と接している西北部山岳地帯にあるライチャウ省は多くの景勝地と少数民族の豊かな文化を誇り、国内外の観光客にとって魅力的な目的地となっています。同省は観光客が地元の文化を十分に体験できるように、少数民族のホームステイを開発する方針です。
 ホームステイ「タムヌン」 |
山間部地方のライチャウ省は壮大な風景に恵まれており、ベトナムで10の最も高い山のうちの６つがあります。これらの山には原生林、谷川、滝、急しゅんな峠、鍾乳石、美しい棚田などがあり、観光客の心を虜にしています。その中で、ライチャウ省ラムドゥオン県ビンソン村に位置するオークイホー峠は西北部の最も長くて険しい４つの峠の一つで、有名な観光スポットとなっています。この峠の頂上からは広々とした稲田、山中の曲がりくねった道、雲海など、天国かのような風景が存分に一望できます。
そして、タイ族やモン族など少数民族が人口の84％以上を占めるライチャウ省は少数民族の独特で豊かな文化とユニークな風俗習慣で知られています。ライチャウ省は少数民族の文化を観光開発のための重要な資源と見なしており、住民にホームステイの経営を奨励してコミュニティベースドツーリズムの開発に力を入れています。
ライチャウ省フォント県ムオンソ村ヴァンフェオ集落は白タイ族の居住地で、コミュニティベースドツーリズムの開発モデルとして選ばれた11か所の集落の一つです。2021年4月28日、ヴァンフェオ集落で、初のホームステイが開設されました。「タムヌン」というこのホームステイは姉妹のロ・ティ・ヌンさんとロ・ティ・タムさんが現地行政府の支援を受けて開設しました。
ヌンさんは、タイ族の有名な料理人として知られていたしゅうとめからタイ族の料理の作り方を学んで、義理の妹であるタムさんと一緒にタイ族のレストランを経営していました。レストランの経営がうまく行っていたため、宿泊サービスにも広げようと「タムヌン ホームステイ」を営むことにしました。ヌンさんの話です。
（テープ）
「私は2019年にレストランを起業しました。その後、タイ族の食文化だけでなく、民間芸能や風俗習慣を保ちたいと思って「タムヌン ホームステイ」を開設しました。8部屋があって最多で40人を収容できるホームステイです。お客さんは、タイ族の料理を味わうとともに、ソエタイやムアサップなどの伝統的な踊りを楽しむことができます。また、谷川で魚を取ってホームステイのスタッフと一緒に調理したり、健康や幸運を祈るための洗髪の儀式を楽しんだりするなどタイ族の生活を体験することができます。開設してからわずか1年ちょっと経ったところですが、お客さんがたくさん来てくださっていて、中にはイタリアや日本からのお客さんもいましす」
 ホームステイ「タムヌン」で披露されたタイ族の踊り |
現在、タムヌン ホームステイに雇用されている人は4人で、月平均1200万ドン（日本円で6万6千円）の収入を得ています。また、このホームステイは観光客に提供するために村の農産物や家禽を大量に仕入れることで、村人の収入向上にも貢献しています。
そして、タムヌン ホームステイでは観光客に錦織業の体験サービスも提供し、地元の特産品を売るショップを開設する計画があります。これは観光サービスの多様化と、地元の伝統産業の回復に役立つと期待されています。
タムヌン ホームステイを参考にしてタイ族の伝統的な高床式の家をホームステイにする世帯も出ています。ヴァンフェオ集落の各ホームステイは互いに連携し合ってコミュニティベースドツーリズムの開発の中心的な担い手となっています。タムヌン ホームステイの共同オーナー ロー・ティ・タムさんは次のように話しました。
（テープ）
「現在、集落にはホームステイが5か所あって、私たちは緊密に連携しています。これから、協同組合へと発展させようと思っています。協同組合になれば、より多くの世帯が参加し、さらなる発展が期待できるからです。現在、タムヌン乾燥豚肉、タムヌンハム、タムヌンスモーク豚肉といった当ホームステイの3つの商品はOCOP一村一品プログラムの基準を満たした商品として認められています。お客さんは当ホームステイの景色とサービスだけでなく、地元の特産品や踊りなどにも満足しているようです」
フォント県はヴァンフェオ集落を模範にし、ホームステイのモデルを県全体に広げ、コミュニティベースドツーリズムの開発を促進しています。同県人民委員会のマイ・ティ・ホン・シム副委員長は次のように語りました。
（テープ）
「現在、フォント県では、ホームステイのモデルが広がっています。ホームステイは住民の雇用創出と収入向上、貧困解消に役立つとともに、観光開発にとっても大きな弾みとなっています。また、少数民族の伝統文化と風俗習慣の保存と開発にも貢献しています。そのため、県は低金利での融資や、観光業務の指導、観光PRなどの措置でホームステイの開発に多くを支援しています」
ライチャウ省を訪れる観光客が増えつつあることは、少数民族の豊かな文化と風俗習慣を強みとし、ホームステイなどを通じてコミュニティベースドツーリズムの開発を目指す取り組みの成果と言えることでしょう。