伝統的歌唱 カーチューの保存活動

ハノイ便りの時間がやってまいりました

ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。

アン こんにちは。アンです

ホアイ アンさん。今日のこの時間はベトナムの伝統的歌唱であるカーチューの保存活動についてご紹介しましょうか。

アン はい。そうしましょう。

音楽 TD NEN

お聞きいただいたのはカーチューのメロディーでした。

ホアイ そうですね。カーチューの歴史はあまりはっきりとは解明されていませんが、15世紀の碑文(ひぶん)と黎朝時代の文献によりますと、11世紀頃に発生したとされていますね。

アン カーチューの歌詞はベトナム語の古語(こご)・チューノム文字や漢詩で書かれていて、これらを読み理解出来る学者や知識人の間で流行り、宮廷でも愛されました。また歌詞の内容が祖先や神を称えるものが多く、15世紀から19世紀の間、カーチューは村の集会所や資産家のお邸、宮廷などの記念日に上演され、その後は庶民にも広まり、村の祭りや結婚式、長寿を祝う席などで盛んに歌われる様になりましたね。

伝統的歌唱 カーチューの保存活動 - ảnh 1

ホアイ そうですね。カーチューはユネスコ国連教育科学文化機関が緊急保護を要するユネスコ世界無形文化遺産として認定されたことにより、カーチューの保存に対する責任が重くなりました。ベトナム民間文芸研究者のトー・ゴク・タイン(To Ngoc Thanh)教授は次のように語りました。

(テープ)

「21世紀に入り、カーチューは消滅の危機に追い込まれました。他の伝統的歌劇と比べて、カーチューは現代生活の中での足場を失い、生き残るためには非常に難しいです。カーチューを復活させるためには、お年寄りや中年層の人々から始める必要があると思います。」

ホアイ タイン教授の話でした。では、このへんで、ティータイムにして、カーチューの歌をお聴きいただきましょう。

アン 話を続けましょう。現在、カーチューが歌われている地方として北部フートー省から中部クアンビン省まで15の省や市で行われていますが、保存活動は非常に難航しています。

ホアイ 集計によりますと、ユネスコにより、緊急保護を要する世界無形文化遺産リスト入りしてからこの2年、カーチューは復活しつつあります。2004年に、全国の15の省や市に22のカーチュー演奏クラブがありましたが、現在、その数は63を越えました。

アン 又、2008年に、カーチューの歌い手の数は全国で150人だけでしたが、現在は700人になりました。ハノイがーチュー演奏クラブが最も多くある地方の一つですね。

ホアイ そうですね。喜ばしいことはこの数年、カーチューの若い歌い手が日増しに多くなっているということです。タイハーというカーチュー演奏クラブの一員であるグェン・キェウ・アイン(Nguyen Kieu Anh )さんはその一人です。

伝統的歌唱 カーチューの保存活動 - ảnh 2

 
アン
アインさんは今年17歳ですが、アインさんのカーチューの演奏を見ると、カーチューの今後の維持、発展を楽観視できる気がします。アインさんは次のように語りました。

(テープ)

「現代社会に住んでいる私は様々な芸術に関心を持っていますが、7世代にわたり、カーチューの演奏を行う家族出身の私は生まれた時から、カーチューのメロディーに包まれ育てられました。そのため、カーチューに対する愛もとても深いです」

アン アインさんの話でした。

ホアイ ハノイの各カーチュー演奏クラブはカーチューの演奏を定期的に行っています。少しずつですが、人々がカーチューを深く理解できるようになるでしょうね。

アン そうですね。財政学院の学生ファム・ホン・フォン( Pham Hong Phuong) さんはハノイ旧市街で行われたカーチューの演奏を鑑賞したことをきっかけに、カーチューファンとなりました。フォンさんはボランティアでカーチュー保存クラブを結成しました。フォンさんの話です。

(テープ)

「私たちのボランティアクラブの活動の主な目的はカーチューの保存に努めるということです。カーチューは緊急保護を要するユネスコ世界無形文化遺産として認定されたからです。若者を始め、全ての人々はカーチューの保存、復活に努力する必要があると思います」

アン フォンさんの話でした。現在、ハノイのカーチュー保存クラブのボランティアメンバーはおよそ50人で、その大部分はハノイにある各大学の学生たちです。彼らは外国人を対象にカーチューを紹介したり、カーチューの演奏会でMCとして活躍したりしています。

ホアイ これらの若者を始め、カーチューを愛好する人々の努力により、今後、カーチューの保存活動は今後も多くの成果を収め、現代社会におけるカーチューの生き残りを期待してもよさそうです。

アン そうですね。では。ここでカーチューをお送りして、今日のハノイ便りを終わりにしましょう。

リスナーのみなさん。今日のこの時間はベトナムの伝統的歌唱であるカーチューの保存活動についてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はここで終わります。来週のこの時間に又お会いしましょう。ごきげんよう。           

Chao cac ban


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