(VOVWORLD) -ベトナムの、バイオテクノロジーと農業用肥料の会社社長、レ・バン・チー博士の研究結果が、WIPO世界知的所有権機関の賞と「ベトナム科学技術創造賞2016」を受賞しました。
チー博士 |
ベトナムの、バイオテクノロジーと農業用肥料の会社社長、レ・バン・チー博士の研究結果が、WIPO世界知的所有権機関の賞と「ベトナム科学技術創造賞2016」を受賞しました。その内容は、「精油と有機肥料の製造に、気候変動の影響を受けやすい地域にレモングラスを栽培する」というものです。チー博士がWIPOの賞を受賞するのは2回目です。最初の受賞は、5年前の2012年、バイオ技術で収穫後の稲わらを有機肥料にするものでした。環境保全についてよく考えられた研究ということが授賞の決め手でした。ベトナム科学研究支援基金の担当者の話です。
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「私達は、23回にわたって、ベトナム科学技術創造賞の授与を行ってきました。これは、ベトナムの科学技術に関する最も栄誉ある賞の1つです。賞に選ばれた研究は、幅広く実用化されて、様々な効果をもたらしています。」
今回受賞した研究について、チー博士が話しています。
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「レモングラスの根元の太い部分は食用として使われますが、青い葉の部分はただ捨てられるだけでした。これを精油にするには、今までの抽出方法だと採取量は少ないにも関わらず、冷却に使う水の量は多くなっていました。なので、このやり方ではだめです。そこで、スピードとコスト面でより効率的なレモングラスの精油作りを考えて、新しい抽出方法を開発しました。この方法では、精油が採れた後に、搾りかすをバイオ肥料に活用することもできます。一石二鳥です。コスト的にもかなりいいと思います。」
レモングラスは栽培しやすく、稲作より経済的で、その利益は7倍から8倍と言われています。チー博士によりますと、レモングラスの栽培・精油の抽出・肥料の生産という一連の生産工程での1ヘクタール当たりの年収は、およそ1億4千万ドン、日本円でおよそ68万円にのぼるということです。レモングラスに続いて、八角やシナモンといった他の植物の精油作りも計画しています。これは、ベトナムの輸出向け精油の持続可能な生産に貢献すると期待されています。チー博士の話です。
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「2025年までに、レモングラスの精油産業の安定を目指しています。現在、関連各省庁や各部門と連携して、100%天然・無添加の精油の生産研究を行っています。」
ベトナムの農業分野でトップの科学者の一人であるチー博士は、80余りの研究結果を持ち、19件の特許を取得しています。バイオテクノロジー分野での特許取得件数が最も多い科学者としてアジア版ギネスブックに認定されています。チー博士は今も、農業とそれに携わる人の利益のために、新しい製品や技術の研究に尽力しています。