トゥアン教授
天体物理学者のチン・スアン・トゥアン教授は1948年、ハノイ生まれでフランス植民地時代のジャン・ジャック・ルソー学校を卒業後、世界的に著名な物理学者アルベルト・アインシュタインに憧れました。彼は若い頃から、探検が好きで、常に宇宙、環境など自分の周りに関心を持つ人でした。1966年に、彼は、アメリカのプリンストン大学に留学し、天文物理学部の博士号をとりました。トゥアン教授は天文物理学の研究に興味を抱いたきっかけについて、次のように振り返りました。
(テープ)
「当初、物理学を勉強したいので、アメリカのカリフォルニア工科大学に留学することにしました。当時、ケンブリッジ大学にあるより遠い過去の状態を観測できるハッブル宇宙望遠鏡を見つけました。それをきっかけにして、天体物理学者になりたくなりました。さらに、ニール・アームストロ氏が1969年に人類初の月面着陸を果たした宇宙飛行士になったという出来事などがあって、天体物理学者になりたいと思ったのです。」
40年間にわたって、アメリカ最大級の科学研究所と航空宇宙局などで、世界的に著名なノーベル物理学賞受賞者と共に、宇宙の研究を行ったトゥアン教授は、2004年に、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて、最も若い銀河を発見しました。これは、宇宙科学にとって極めて大きな貢献の一つとなっています。そのほか、2009年に、彼は、科学普及事業に大きく寄与してきたためユネスコのカリンガ賞を、2012年に、フランスの最も名誉ある賞の一つである「プリ・モンディアル・キノ・デル・デュカ賞」を授与しました。トゥアン教授は次のように語りました。
(テープ)
「私はベトナム人です。ベトナム人が天文物理研究分野において外国人と肩を並べられるようになったことを誇りに思います。そこで、私は科学研究の道をさらに進んでいきたいのです。」
その一方で、トゥアン教授は宇宙に関する数多くの本をフランス語で出版しています。中の10冊のがベトナム語に翻訳されました。トゥアン教授について、キムドン出版社・科学本担当部のホアン・タイン・チュウ部長は次のように語りました。
(テープ)
「トゥアン教授は著名な科学者の資格を十分に示していますがとても親しみやすい人です。彼は私たちと接触するたびに、多くの印象を与えます。」
多くのベトナム人読者は、トゥアン教授が執筆した科学書に印象を持っています。トゥアン教授は無味乾燥な話題であると言われる宇宙の題材を柔軟に、分かりやすく表現しました。ハノイ市アマチュア天文協会の会員ファム・ブ・ロックさんは次のように明らかにしています。
(テープ)
「トゥアン教授が執筆した本は、青年たちに科学への興味を与えています。ベトナムの天文部門はまだ若く、トゥアン教授のようなお手本が少ないです。そこで、トゥアン教授が帰国するたびに、私たちは教授と出会いたいのです。トゥアン教授は天文愛好家にとって重要な原動力的な存在です。」
トゥアン教授の話は「ベトナム出身者なので、故郷の発展に少しでもお役に立ちたい」と明らかにしています。