ハンさん（左）

それだけでなく、この数年間、ハンさんは、村の女性会会長として活躍しています。

ハンさんの話によりますと、２０１１年に、現地の新農村作り運動の一環である道路拡張プロジェクトが実施されるということを聞いて、村人は誰もが喜んでいました。しかし、現行の道路を幅５メートルに拡張するための予定地が足りなかったため、建設予定地になり立ち退きしなければならなくなりました。ハンさん一家の敷地が道路建設予定地になり、立ち退き対象になると聞いた時に、彼女は「まさか、長年貯めたお金で建築したばかりの建物が、道路拡張工事のために破壊されるとは思ってみなかった」と遺憾の意を表しました。しかし、その後、ハンさん夫婦は「もし、道路拡張が実現しなければ、村人たちは、晴れた日はホコリが舞い、雨の日は泥で汚れた狭い道の通行という状態が続き、いつ脱出できるのか」とよく考えました。ハンさんの話です。

（テープ）

「私たちの家は建築したばかりです。一億ドンの建設費用でした。道路建設予定地にあるという情報を聞いて、どうすればいいのか頭が真っ白になりました。それから、家族全員で相談しあい、村の道路建設のために家族の敷地を自発的に提供することにしました。」

ハンさん一家によるこの行動は村人のお手本になったようです。ハンさん一家が30平方メートルの土地を提供した後に、村の99世帯からも自発的に土地の提供者が出たのです。その結果、広くてキレイな道路や廃水溝が舗装されました。

ハンさんと女性会のメンバーらとともに、農村部の環境衛生を担うグループを成立しています。女性会会長として、ハンさんは、現地の社会活動に積極的に参加しています。彼女は村に住む女性たちの家をよく訪れ、それぞれの人の家庭状況や経済状態、願望を把握したり、貧しい家庭の女性や困難な状態にある子供への支援を呼びかけたりしています。その一方で、彼女は、村の女性たちに対し「平穏、平等、進歩、幸福」という4つの基準に達する家庭づくりを働きかけています。ハンさんについて、村人の女性の一人の話です。

（テープ）

「新農村作り運動では、ハンさんは代表的な幹部として活躍しました。この運動に応えるために、彼女は、自分の家庭内の宣伝活動を良好に実現するだけではなく、他の家族を訪問して、働きかけました。誰もが出来ることではありません。ハンさんは、自分の立場を深く認識しており、ほかの女性たちのお手本になるために努力しています。」

ハンさんは女性会の諸活動に積極的になっている傍ら、経済発展にも目を向けています。農作業をする他、畜産と作物の栽培を効果的に行っています。

10年あまりにわたって、地元の社会活動に参加しているため、ハンさんは村人から信頼されるようになっています。多大な貢献をしてきたハンさんはベトナム女性連合会中央委員会、及び省、県レベルの女性連合会からいくつもの表彰状を授与されています。