南部テェンザン省カイベ県ハウタン村カウケオ居住地に住むグェン・バン・ランさんは多くの農民から「裸足のエンジニア」という愛称で呼ばれています。彼は、元々農民でしたが、南部メコンデルタ地域の農作業に利便性を持つコンバインの製造者です。
ランさんは幼い頃から、農業に従事していたので、農民の苦労が良く分かっています。以前、南部メコンデルタ地域では農業生産用の機械が不足していました。手作業による稲の収獲は、時間でも人力もずいぶんかかる割りには、効果が上がらなかったということです。ランさんは機械製造に関する基礎的知識を得たため、1980年に、農機具製造の研究をし始め、脱穀機を製造することにしました。
何度も失敗を経た後、ランさんはやっと高い効果の脱穀機を出来上げるようになりました。「トウ・サン」という名を持つこの脱穀機は多くの利便性で多くの農民から愛用されました。それから、ランさんは2千機あまりの脱穀機を製造し、出荷させました。その現状に満足せず、ランさんは稲刈り時の人力をどうすれば節約できるのか考えていました。それをきっかけに、彼は稲を刈り取りながら脱穀して、そして、籾をきれいに取り去る機能を備えた農機具を製造することにしました。2006年までに、10年間にわたって、初のコンバインを出来あげるようになりました。このコンバインは重量2トン余で、一日およそ2~3ヘクタールを収獲できることから、50人分の仕事に匹敵しています。特に、このコンバインは湿地帯やぬかるんだ泥の上でも操作できます。ランさんの話です。
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「最初の脱穀機を製造した後、現地農民に貸しました。農民たちはその機械が気に入って、同じ機械の製造を注文しました。コンバインの製造でも、当初は色々な困難にあったが、克服と研究しながら造れるようになったよ」
現在、ランさんの家庭が営んでいる2つの工場は数十人を雇っています。彼の二人の息子は、いずれも父の職業を継いでいます。2008年に農業農村開発省の開催による「メコンデルタ地域のコンバイン製造」コンクールで、「メイド・イントウ・サン」が優勝しました。
テイェンザン省ゴコンタイ県タンホア村に住む農民グェン・バン・フォックさんは、このコンバインについて次のように評価しています。
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「現時点で、ランさんが造ったコンバインは最も効率が良いです。このコンバインは立っている稲は勿論ですが、倒れた稲さえも、上手く操作しますよ。農民たちはお金があればこうしたコンバインを買った方が良いと思います。」
現在、ランさんは年をとったため、直接機械造りをしませんが、技術的アドバイスをしています。ランさんの息子グェン・ホン・テェンさんは機械エンジニアですが、父の支援を受けて、藁巻き機械を製造するようになりました。二人は、国内の農業生産に奉仕する幾つかの農機具を製造するだけでなく、外国にも輸出する計画です。