障がい者用ロボット開発に成功した高校生

(VOVWORLD) -5月に、アメリカのロサンゼルスで、「インテル国際学生科学フェア」が行われました。これは「科学のオリンピック」とも呼ばれていて、毎年行われている世界規模の高校生の科学コンテストです。
障がい者用ロボット開発に成功した高校生 - ảnh 1 フイさん=Internet

今年は、ベトナム中部にあるクアンチ省の高校2年生、ファム・フイさんが見事、第3位に輝きました。フイさんのテーマは、体の不自由な人向けの上肢ロボット、手や腕に付ける装置の開発です。クアンチ省は、戦争中から地中に埋められている地雷や不発弾の被害が激しいところです。加えて、この地方には地形が険しいところが多く、交通事故も多発しています。こういったことから、フイさんは幼い頃から、地雷や事故などで体が不自由になった人を助けたいと思うようになりました。

中学3年生の頃、偶然あるテレビ番組を見たフイさん。体の不自由な人用の装置の設計と製造に関するアメリカの技術を紹介するものでした。それをきっかけに、上肢ロボットを作ることを決めたそうで、高校1年生の時には装置を試作したということです。フイさんの話です。

(テープ)

「手は、人間の生活や生産活動にとって大事なものです。ベトナム国内では、モーター制御や脳波を使って動かすものなど、様々な上肢ロボットが販売されています。でも、値段が高いし、手の決まった部分しか使えないなどの問題がありました。だから私は、腕が不自由な人が、安い価格で使えるロボットを作りたかったんです。」

フイさんは、研究を始めて2年後に、装置の模型を完成させました。そして、前腕、ひじから下を失ってしまった人に試してもらいました。その意見をまとめ、不都合な点や模型の分析をして、改良を重ねていきました。フイさんの上肢ロボットのポイントは、足の指でセンサーを操作して、ロボットの指をコントロールすることです。これによって、手を閉じたり開いたりするだけでなく、スプーンやコップなどの軽いものから11キロの重さのものを持つこと、手と肘を同時に動かすことなど、日常生活に必要な多くの腕の動きを可能にしました。ここまでできるアームロボットですが、製作コストは300万ドン、日本円でおよそ1万5千円ほどと高くありません。

フイさんの話です。

(テープ)

「製造技術は複雑ではありませんし、利用者の自立にとても役立つと思います。コストが安く、両腕をなくした人にも使ってもらうことができます。両足で両手を同時に動かすこともできるからです。これからも、上肢ロボットの製造技術の向上と便利さなどを研究していきます。」

障がい者用ロボット開発に成功した高校生 - ảnh 2 フィさんと上肢ロボット

今年のインテル国際学生科学フェアには、アメリカ、ドイツ、日本などの技術先進国をはじめとした70の国と地域から1700人が参加しました。その中の第3位を手にしたフイさんは、この大会で賞をもらった初のクアンチ省の学生となりました。歓迎式典での、クアンチ省共産党委員会委員長の話です。

(テープ)

「フイさんとフイさんの学校関係者の成果は、非常に大きいです。科学は人の役に立つよう、人によって進化してきたものです。これは科学の発展の文化的な面での価値だと思います。」

フイさんの上肢ロボットの成功は、腕が不自由な人にとって、今後を劇的に変えるものとなるかもしれません。

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