バクニン省トゥソン町ドンキ村はハノイから20キロ程のところにあり、ホン川(紅河)の支流であるグーフイェンケ川沿いにあります。この村は木工細工で国内外によく知られています。村のすべての家庭は木工細工に従事しています。そのため、この村の子供たちも木工細工に参加しています。
ドンキ村に住む今年20歳たらずのグェン・バン・ソン( Nguyen Van Son) さんによりますと、幼い頃、学校から戻ると、父親の指導の下、木工製品を磨く作業を手伝いました。その後、木材にカンナをかけたり、刻んだりすることなどができるようになりました。15~16歳になると、簡単な彫刻ができるようになりました。ソンさんの話です。
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「この木工細工作業の中で最も重要な部分は木材を刻むことと塗料工程です。製品の表面のつやが出るかどうかは職人の腕にかかるのです。職人の腕と経験によって、収入も違ってきます。私の場合は一日の収入は20万ドン、約千円です」
ドンキ村の木工製品に彫刻される柄は非常に繊細な模様ですから、職人の腕の器用さが試されます。トァンロック工芸品協同生産組合のグェン・ズイ・トァン( Nguyen Duy Toan) 会長は「ドンキ村の木工製品が国内外で愛用される理由のひとつはこれらの製品が職人の器用な腕によって作られる」と明らかにし、次のように語りました。
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「普通のベッドやタンスならば、機械でできますが、彫刻入りのものは、職人の手で作らなければなりません。機械だけで、ドンキ村の木工製品を作ることはできません」
ドンキ村の職人は木工製品に心を込めて作っています。先ほどのトァン会長はさらに次のように語りました。
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「昔、普通の家庭で使われていた木材は自分で植えられた木で作ったもので、彫刻の繊細さは現在のように綺麗ではありませんでした。金持ちの家が使用していた木工製品は非常に美しく、一つの製品を仕上げるために、1年かけることもありました。しかし、経済開放政策が実施されてから、消費市場が拡大され、原材料も豊富になりました。他の地方の木工製品と競争できるように、ドンキ村の木工製品の形式は多様になりました」
現在、ドンキ村ではおよそ2百の世帯と企業が木工細工の生産経営活動を行っています。この工芸はドンキ村と周辺各村の多くの人々に雇用を創出しています。木工細工はこの村の生活水準の向上に大きく貢献してきました。ドンキ村の木工製品は国内だけでなく、ヨーロッパ、アフリカ、米州大陸などに輸出されています。ドンキ村の木工製品生産経営協会のブ・コク・ブオン( Vu Quoc Vuong) 会長は次のように語りました。
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「ドンキ村の製品の商標を確保するため、私たちは木工製品に産地証明ラベルを貼り付けます。生産された製品は品質基準を満たしているかどうかを検査し、出荷します。今年、私たちはドンキ村の木工製品のショールームを開設します」
ドンキ村は木工細工で知られている他、多くのお寺、神社と伝統的祭りがある地方としても有名です。経済が発展し、村は大きく変貌していますが、この村は昔ながらの伝統文化を保っています。