(VOVWORLD) -ベトナム中部のカインホア省にあるチュオンサ諸島では、他の地域で行われている血液バンクとは違うシステムが活用されています。
自発的献血に参加する チョンサ群島の海軍ら、 |
各島に住んでいる人、また駐屯している軍の部隊の治療に使うことのできる血液を適宜に供給するためのものです。一般的な血液バンクは、献血運動を通して血液を採取、血液製剤を作り、冷凍庫に保管します。しかし、山岳地帯や不便な土地、特に本土から離れた島では、天候や輸送手段などの条件が厳しく、かつ血液の保管庫が完備されていないなどから、通常の血液バンクは難しい状況です。この解決策として、ベトナムの国立血液輸血研究所は10年間にわたって、国内にある数十か所の島を視察しました。その結果、離島ならではの血液バンクが考えられました。全ての血液型に輸血できるO型の人を対象に、輸血を必要とする患者がいた場合、血液を提供できるか調査が行われました。いわゆる生きた血液バンクで、献血対象者は、その島に住んでいる人や軍の駐屯部隊です。国立血液輸血研究所所長の話です。
(テープ)
「献血できるのはO型の人で、健康で血液を提供する意思があり、献血による血液感染の心配がない人たちです。こうした基準を満たした献血者を事前にリストアップしておきます。その後は、そのリストを各島に配布するだけです。血液保冷庫も要りません。とてもシンプルです。」
この生きた血液バンクは、チュオンサ諸島のソントゥタイ島、ナムイエット島、ソンカ島、シントン島、チュオンサ島の5つで設立され、島に住んでいる漁師や駐屯部隊が協力しています。ソンカ島に駐屯している兵士の話です。
(テープ)
「生きた血液バンクはとてもいいと思います。病気やけがで血液が必要な島の人に、適切に血液を提供できるからです。」
このシステムのおかげで、昨年、チュオンサ諸島にある各診療所で、多くの命が救われました。ソントゥタイ島診療所の医師の話です。
(テープ)
「島の医療設備はまだまだ不足しています。それに、通常の病院のような血液バンクの設立は不可能です。緊急に輸血が必要な時は、生きた血液バンクですぐに的確な対応が出来るのです。」
チュオンサ諸島での生きた血液バンクは、あらゆる場合に対応できるため、非常に重要です。海軍医学研究所の血液担当者の話です。
(テープ)
「本土と違って、島では、血液を備蓄することが出来ません。つまり、血液バンクはできないんです。国立血液輸血研究所は、島での輸血研究を行いました。その結果が、チュオンサ諸島の生きた血液バンクになったのです。」
これからも、チュオンサ諸島でのこのシステムの効果が期待されています。