(VOVWORLD) - ベトナムに共存している54の民族はそれぞれ、伝統的なお正月テトを楽しむ独特な習慣があります。これらの習慣は、ベトナムの豊かな文化を支えています。
ムオン族のおせち料理「バイン・テト」 |
ハノイ郊外バー・ビー県にあるタンヴィエン山の麓に住んでいる少数民族ムオン族の人々は、旧暦の12月27日からテトの準備を始めます。準備作業の中で最初に行われなければならない最も重要なことは、新しい囲炉りをつくることです。新しい囲炉りづくりを終えてからようやくテトの準備を始めるのです。そして、旧暦の12月27日の夜に行わなければならないのは祭壇の掃除と装飾です。しかも、その仕事をする人は、その一家の中心の男性でなければなりません。ハノイ郊外のルア村に住むムオン族の一人ディン・ヴァン・ルアンさんは次のように話しています。
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「祭壇の飾り付けをするとき、必ず桃の花と2本のサトウキビを飾らなければなりません。そのサトウキビは昔から伝わっている種類です。そして、バナナやザボン、お菓子などを用意します。神様を祀れば、人間を守ってくれるという昔から伝わるこの信仰は今もなお、守られていますよ。」
そして、ムオン族の人々は、元日に村の古い井戸から水を汲んで持ち帰る習慣があります。古い井戸から汲み取れた水は、家族全員に幸運をもたらすものだと考えられているのです。
ムオン族のドラ祭り |
一方、北部バクザン省ルックナム県ドンフン村に住む少数民族サンジュ族は、必ずテトに手作りのお酒を飲まなければなりません。そして、元旦に村の近くにある谷川へ水汲みに行く習慣があります。その水を使っておかゆをつくり、先祖にお供えします。そのおかゆの特徴は、もち米、緑豆、砂糖だけでできる精進料理とされています。そして、テトの祭壇にはいつもおかゆの茶碗が5つ置かれます。ドンフン村の村人ファム・ト・ドアンさんの話です。
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「近年、国の支援を受け、サンジュ族ならではの風俗習慣の多くを保っています。消えてゆく恐れがあったこともありますが、テト習慣を始め、多くの風俗習慣はコミュニティで復活されています。サンジュ族にとって伝統的なテトは最も重要な年中行事なんです。」
テトに披露されるモン族の笛の演奏 |
一方、北西部の山岳地帯一帯がプラムの花に覆われる頃、少数民族モン族は、お正月の準備にかかります。モン族の伝統的なお正月の元日は旧暦の12月1日です。テトはモン族にとって、1年の苦労を癒すための長い休み期間です。多くの祭りが行われるこの期間は、若者たちにとって、結婚相手を探すチャンスです。ハザン省メオヴァック県カンスフィン村に住むモン族の一人ト・チ・リアさんは次のように話しています。
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「テトの準備として、テト後の1ヶ月間に使われる薪を用意しなければなりません。テト休みは1ヶ月ぐらいなんです。そして、牛のエサとして、1週間分の草を用意しなければなりません。畑仕事はテトの1ヵ月後です。」
モン族は、大晦日に銅線形をした銀紙を農具に貼る習慣があります。これは1年間人間の畑仕事を大いに手伝ってくれた農具に対する感謝を示すためです。そして、全ての農具を人間と同じようにテトに休むように、祭壇の下に置く習慣もあります。
大晦日の夜、家族全員は集まって寝ずにその一年の出来事と新年の祈願について話し合います。また、お年寄りは昔話や自分の生涯と経験を子や孫に語ります。
54の民族が共に共存しているベトナムでは、それぞれの民族が独特なテト習慣を誇っていますが、これらの伝統的な習慣は今もなお、きちんと保たれています。