ずっと昔から、ベトナム人一人一人に対する大晦日の夕方は神聖な意義を持っています。 テト前の一週間のうちに、殆どの家族は大掃除をしたり、家の飾り付けをしたり、料理の準備と買い物をしたりする習慣があります。これらの仕事は、遅くとも大晦日の午後までにやり終えなければなりません。そこで、ベトナム人にとってテト前の数日は本当の忙しい日々となっています。
勿論、それぞれの家庭では年末の過ごし方が違います。例えば、ハノイ市ロンビエン区ザトウイ区に住むグェン・バン・ビンさん一家は、毎年の大晦日になると、家族全員で親戚のお墓参りをして、先祖のお墓を手入れし、ご先祖をテトに招待する習慣があります。テトの前に先祖を出迎える儀式は殆どベトナム人の家族にとって伝統的な風習からです。ビンさんは次のように語っています。
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「大晦日になると、私の家族全員は、先祖のお墓をお参りをします。お墓を手入れした後に、それぞれのお墓に果物やお菓子、花などを供えて、線香を手向けしながら、先祖をテトに招きます。子どもと孫たちに家族のこの伝統を伝えたいからです。」
大晦日になると、新年を迎える最後の準備作業を急ぐ方、どんな家庭でも、先祖にあげるお供え物として旧正月テト用の料理を作って、そして家族団らんで楽しむ習慣もあります。ザトウイ村に住むブ・ティ・ティンさんは次のように明らかにしています。
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「大晦日の御馳走を準備するために、我が家では、毎年のように、テトの定番料理としては粽のバンチュン、干しタケノコと豚骨スープ、揚げ春巻き、茹で鶏肉が必ずあります。ご先祖様にこれらの料理を供えした後、家族全員で食べます。」
一般の家庭では、テトの準備を完成させるために、大晦日の早朝から、女性たちは、料理を作ったり、祭壇に置く供物を用意します。男性たちは、家を掃除したり、礼拝用具を用意したりします。大晦日の午後、準備作業が終わった後、家族全員は服装を整えて、ご先祖を出迎える儀式を行います。都会へ出稼ぎに行っている人や、都会の大学に在学している学生などは、テト休みをとって、故郷に戻り、テトを楽しみます。テトは、家族全員が集まる日々です。高齢者のブ・ティ・チャットお婆さんは次のように明らかにしました。
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「私はテトが好きです。なぜなら、1年振りか、久しぶりに子や孫に会えるからね。みんが会って、お互いの近況を話したりして、とても嬉しいですよ」
ベトナム人の大晦日の過ごし方は様々ですが、家族団らんで、テトの準備をしたりして、ご馳走を作ったり、食べたりすることなどは、忙しさと感じさせるかもしれませんが、家族の親密さを確認しあう素晴らしい伝統であると言えるでしょう。