(VOVWORLD) -現在、ベトナムに住む少数民族の楽器が消滅しつつあります。楽器を製造する人はもとより演奏できる人も少なくなり、高齢者に限られているそうです。
しかし、自分の民族の文化を保存したいと願う職人は何とかして若い世代に、伝統音楽の演奏と楽器の製造方法を教えようと取り組んでいます。今回はそんな人たちを紹介します。
楽器職人のアマ・ホロアンさん |
中部高原地帯テイグェン地方ダクラク省ブオンマトット市アコドホン村に住む楽器職人のアマ・ホロアンさんは、エデ族の様々な楽器を造る他、楽器を上手く奏ています。彼はエデ族の祭りや、風俗習慣が消えつつあること、銅鑼や笛などが記憶の中にしかない恐れがあることを認識しています。そこで、彼は、エデ族の伝統楽器を復元することにしました。楽器職人アマ・ホロアンの器用な手先にかかると、竹や籐、水牛の角、ハチの巣などがエデ族の楽器に変わるのです。これらの楽器は、エデ族の伝統的な祭りや全国各地の大規模な文芸公演で披露されています。アマ・ホロアン職人の話です。
(テープ)
「エデ族の居住地に行ってきましたが、エデ族の伝統的楽器がほとんど見かけませんでした。つまり、消えつつあるということです。そこで、定年退職した1999年に、自分たちの民族楽器を復元することにしました。楽器の製造は、私の興味の一つだからね。それで、楽器の復元に着手したわけです。80代から~90歳代の高齢者たちは私が製造した楽器の音色を聴いたら『昔に返ったようだ』と言ってくれたんです。」
アマ・ホロアンさんと同じ様に、ゲアン省コンクオン県モンソン村カン村落に住む楽器職人のルオン・スアン・ギエップさんは、タイ族の竹笛、ダンティンなどの楽器の収集、製造、保管にだいぶの時間を作っています。そして、彼はタイ族の民謡芸術クラブを発足させ、40人のメンバーを集めています。
ギエップさん |
ギエップさんの話です。
(テープ)
「現在、多くの若者たちは、自分たちの民族の伝統を忘れつつあり、近代的な楽器だけを好んでいるようです。そこで、民謡芸術クラブを発足させたことは、伝統芸術が好きな人を集めて、彼らに民謡を練習したり、教えたりすことが目的です。クラブの参加者には、大人もいますが、子供も20人近くいます。参加して、しばらくすると、これらの子供たちは民謡を歌えるようになるよ。」
このクラブのメンバーらは、ゲアン省内外クラブのメンバーとともに、文芸の交流会を行います。こうして、タイ族の民謡や楽器がさらに広まるようになっています。
アマ・ホロアンさんとギエップさんは民族の伝統的文化財の復元、保存に努力したものの、継承者探しなどについてよく考えています。職人アマ・ホロアンさんの話です。
(テープ)
「現在、伝統的な楽器に詳しい人は、ほんのわずかしかいません。僕はもう79歳になった。自分のような人は多くいません。伝統的な楽器を製造したり、上手に演奏できる人を探しにくいのです。私は、関連各機関にこの問題を提出しました。」
現在、文化部門は、民族の伝統的な楽器や文化の保存に向けた具体的な政策をとっているということです。