(VOVWORLD) -ブイ・フォン・ランさんは、ベトナムの大手報道機関の文化観光担当の新聞記者でありましたが、この職業に就いてから約10年後、急にこの仕事をやめて、手刺繍に関わるファッション業界に入りました。
ランさんは、ハノイ郊外にある手刺繍で有名なクアッドン村の出身者です。しかし、学生時代、そして、社会人になってしばらく、彼女は故郷の伝統的職業を忘れてしまったようです。大学卒業の後に、新聞記者として活躍する際に、全国各地の伝統職業村を訪れて、職人の器用な手先で仕上げた様々な手作り製品を目にする機会がありました。それをきっかけに、故郷の伝統的手刺繍製品を国内外の観光客に紹介しようと思いました。2017年半ばに、ハノイ旧市街のハントウン通り23番地の小さな家の中に手刺繍「トウ・ティ」というブランドを持つお店を開くことにしました。ランさんの話を聞いてみましょう。
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「ブランド名の『トウ・ティ』は、刺繍の創始者を祀る神社にちなんだものです。『トウ』は刺繍、『ティ』は市場という意味です。私は、幼い頃から、母方の祖母から刺繍を教わりました。一針一針、丁寧に刺した刺繍をしているお婆さんのようなベテラン職人の姿は、常に、私の記憶の中に深く刻み込まれています。そこで、この伝統的職業を営むことにしました。」
ランさんは、美しく独特な刺繍製品を仕上げるために、故郷の刺繍職人を雇っています。
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「それぞれの手工製品は、職人の気持ち、性格を持っているようです。彼らの心理状態がちょっと不安なときは、糸の色や、デザインの形などが変形するからです。そこで、得意な製品のために、職人たちに同感しなければななりません。」
「トウ・ティ」ブランドの最初の刺繍製品は、ベトナムの伝統衣装「アオザイ」、及び、シャツの花、鳥の刺繍でした。現在は、刺繍コースターや、テーブルクロス、スカーフ、バッグ、財布、絵などの各種ハンドメイドまで拡大されるようになっています。
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「クアッドン村の刺繍製品は、欧州や、アメリカ、日本などに輸出されてきました。さらに、ザラといった有名なブランドから村の刺繍職人に注文を付けています。手先の器用さについて、ベトナムの刺繍職人は各国の職人に負けないからです。外国人観光客をとりこにするためには、心を込めた刺繍製品を作り出す必要があります。」
一方、ランさんの親友であり、また、ランさんと共に手刺繍の店を営んでいるハー・チャンさんは次のように明らかにしました。
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「新聞記者は経営業と全く違うので、当初、ランさんが刺繍の職業で起業を成功させるとは思いませんでした。そこで、彼女から共同経営の誘いを断りました。しかし、彼女のお店とクアッドン村を訪れて、刺繍の仕事について深く理解するようになってから、ランさんと共に『トウ・ティ』手刺繍ブランド化することにしました。」
2019年初に、中部クアンナム省ホイアン町に『トウ・ティ』ブランドの新しい店が開設されました。この店を訪れる観光客は、刺繍を体験したり、自分が作った刺繍製品を購入したりすることもできます。