テトが近づくと、北部山岳地帯のディエン・ビエン省に住む黒タイ族の人々は家を掃除し、桃の花を飾ったり、テト料理をつくるための食材を準備したりして、忙しくなります。生活が現代化されつつある現在でも、昔ながらの美しい風俗・習慣が保たれています。そんな黒タイ族のテトを楽しむ風習を見極めるため、今日のこの時間は、ディエン・ビエン省、ディエン・ビエン県、サム・ムン村に住むカー・バン・ジンさんの家庭を訪ねてみましょう。
カー・バン・ジンさんは祭壇にお供えをしてから礼拝をし、家族全員の健康と平安、豊富を祈りました。テトの4日目、家族は料理をつくり、ご先祖の供養をします。
神事を行った後、ジンさんの家族は一緒に食事をしました。ジンさんは子孫に対し、民族の風俗・習慣について語り伝えました。ジンさんは「今、まだ健在ですから、礼拝を取り仕切りますが、今後は子や孫たちが受継がなければならない」と話し、次のように語りました。(テープ) Dinh
「今年、我が家はパパイヤ、オレンジ、ミカン、レモン、ザボン、バナナを供えしたことをご先祖に伝えなければなりません。桃の花も準備しました。また、乾燥させたお肉など、いくつかの料理を用意しなければなりません。更に砂糖きび、魚、鶏肉も用意すべきです。」
このように語ったジンさんは子や孫に対し、旧正月テトは家族団欒であるだけでなく、親戚やお隣りを訪ねる機会でもあると説明し、次のように話しました。(テープ)
「テトにはそれぞれの家庭は親戚やお隣りを招いて、ご馳走をする習慣があります。このご馳走は自分の家庭と近所の方々との付き合いが良いということを示すものです。又、子孫が多く集まるのはその家族の幸福度を表します。」
このように話したジンさんは又、ご馳走を提供する家庭の優先条件について触れ、次のように語りました。(テープ)
「元旦は、家族全員が優先で3世代の家族が同じ家に集まり、ご馳走をいただきます。2日目は、2世代の家庭、3日目は、1世代の家庭の順となります。」 ジンさんはこのように語りました。
黒タイ族の間では男性が礼拝を行い、女性は料理をつくる任務があります。また、テト料理には竹の子スープと焼肉が欠かせないそうです。ジンさんの奥さんロー・ティ・ルオンさんは「黒タイ族の女性は幼い頃から、料理を教わり、テト料理は女性の器用さを示す」と明らかにし、次のように語りました。(テープ)
「テトには、アヒルではなく、鶏肉や焼肉をご馳走します。乾燥させた料理の方が食べやすいです。以前は冷蔵庫がなかったからです。今は新鮮なお肉を冷蔵庫に保管できます。」
ルオンさんはこのように語りました。
黒タイ族のテト料理には魚と鶏肉が欠かせません。茹で鶏肉や炒めた鶏肉のほか、和え物としてつくられたものもあります。ジンさんの娘カー・ティ・ズンさんは次のように話しました。(テープ)
「茹で鶏肉にマクケンやチリ、ニンニクの葉、コリアンダーを入れます。誰もがこの料理をつくれるでしょう。鶏肉を茹でた後、小さく切るのです。マクケンというのは森のコショウです。」
ズンさんはこのように話しました。
ジンさん夫婦は白タイ族出身のお嫁さんに黒タイ族の風習の理解を深めてもらうため、色々と説明しました。嫁のフオンさんは教わったことを十分に理解し、実現しています。例えば、大晦日にはお米の研ぎ汁でシャンプーする」と語りました。
なお、ジンさんの家族はテト料理を食べながら、風俗、習慣について話し合っています。ジンさん夫婦のような親たちは子孫がご先祖からの儀式を受け継ぎ、取り仕切ることを願っています。