かつて母系制のラグライ族の今

ベトナムの54の民族の中で、ラグライ族とは、中南部に居住している少数民族で、マレー・ポリネシア語群に属します。2009年の国勢調査によりますと、人口は12万人を超え、その85%以上はカインホア省とニントゥアン省に住んでいます。

ラグライ族は元々母系社会ですが、現代生活の影響で母系的な要素が薄くなっています。男性は家庭での役割を増やしつつありますが、娘は相変わらず、母親の姓を名のります。また、財産は娘、特に一番下の娘が相続します。

かつて母系制のラグライ族の今 - ảnh 1
ラグライ族の村人の集い

山々に囲まれたところを居住地にするラグライ族は自然を守る意識が強いです。ラグライ族の一人でこの民族の文化を研究しているマウ・クォック・ティエンさんは次のように話しています。
(テープ)

「ラグライ族と、中部高原地帯テイグェン地方に住むほかの少数民族との間には、類似点もあれば、相違点もあります。テイグェン地方に住む少数民族のいくつかは、森林を焼いて畑にし、森林の動物を狩るなど遊牧生活を送っていました。それに対して、ラグライ族は森林と環境を守る意識が強いです。ラグライ族の居住地は森林と環境の保護に関する国の主張に従うところとして知られています。」

ラグライ族の家は高床式で、谷川のそばに建てられるのが一般的です。家は板塀に囲まれ、2つのドアがある家が多いです。ラグライ族の家には、谷川から生活用水を送る竹の管が設置され、女性と子供専用の湯浴み場もあります。

服装について、男性はかつて、腰布だけでしたが、現在は洋服を着ています。女性は民族織りの巻スカートにし、半袖のシャツを着ています。女性の装飾品としては、銅と銀でできたネックレスや腕輪、イヤリングなどです。

かつて母系制のラグライ族の今 - ảnh 2
ラグライ族の踊り

ラグライ族は多神教を信仰する民族で、山の神、森の神、稲の神などを祀ります。神の中で、「ザン」という神は最高の神様です。ラグライ族の人々は、石、山、森、動物などの名前を自分の名字つまり姓にして自分の氏神としています。

ラグライ族の人々の考えでは、人は死んでも、その魂が別世界で生き続くことから、死者に持ち物を与える習慣があります。そのため、お墓には、壊されたドラや籠などの家具が置かれます。魂は壊れたものしか使えないと考えるからです。

そして、葬儀の後行われる「ボマ」という儀式は死者との告別式としてラグライ族の人々の精神生活において重要な意義を持っています。先ほどの研究者マウ・クォック・ティエンさんは次のように語りました。
「テープ」

「昔々から伝わってきたラグライ族の最も特徴ある儀式はボマです。ラグライ族の人々の考えでは、死者に対してボマの儀式を行うべきで、これは、死者に対するまだ生きている人の愛情と責任を示すものなんです。」

音楽については、ラグライ族は、竹製のチャピという弦楽器や、石でできたダンダという楽器など独特の楽器で知られています。また、ラグライ族はベトナムの54の民族の中で最も豊かな民謡を持っている民族の一つであるとされています。そして、叙事詩、昔話、おとぎ話、ことわざなど、文芸的な作品もたくさんあり、この民族の生活、習慣、信仰、文化などを反映しています。伝統的な価値を大切にするラグライ族の人々は今も、現代生活の良さを受けながら、代々受け継がれてきた伝統を守っています。

ご感想

他の情報