(VOVWORLD) - 壺はエデ族の人々にとって神聖なものであり、家族の一員として親しいものでもあります。
ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に居住している少数民族エデ族の生活において、壺は重要な位置を占めています。壺はその家族の豊かさを示す貴重な財産であり、各行事に欠かせないものでもあります。そのため、壺を買ったり、売ったりする時などはその壺を祀る儀式を行います。
壺を祀る儀式 |
エデ族は、いかなるものにも魂があり、その中で、神聖なものとして扱わされる壺の魂は特別であると考えています。エデ族の各行事に欠かせないものの一つには、地酒の壺があります。そのため、壺はエデ族の精神生活の中で重要な位置を占めています。
テイグエン地方にあるダクラク省ムドラク県クロンジン村に住むイ・ウット・ムロさんは、去年は、家族全員が健康で、仕事がうまくいった良い年で、新しい壺を買うことにしたと述べ、次のように語りました。
(テープ)
「新しい壺を買ったので、壺の魂が我が家へ入るために、壺を祀る儀式を行います。かつて、私の親の時代に、この儀式が頻繁に行われていましたが、現在は少なくなっています。しかし、私は子や孫にその伝統を理解してもらってこの儀式を保っています。」
壺はエデ族の人々にとって神聖なものであり、家族の一員として親しいものでもあります。そのため、壺を祀る儀式は、その家族の幸運を祈るとともに、家族の一員を歓迎する意味があります。儀式のお供え物は、オス豚1頭、3つの地酒の壺3つ、銅製のネックレス6つ、銅製の茶碗3個などです。
儀式を行っている祈祷師 |
儀式は祈祷師の主宰の下で行われます。祈祷師は、山や川の神と先祖を儀式へ招待し、儀式を始めます。また、家族の一員になった意味として、壺に銅製のネックレスにかけます。
現在、壺を祀る儀式を行う家族は少なくなっていますから、この儀式を守ることは差し迫った課題となっています。そのため、イ・ウット・ムロさんが行ったその儀式は周辺の住民の注目を集めました。壺を祀る儀式を始めて体験したイ・ボン・ムロさんは次のように語りました。
(テープ)
「私はまだ若いので、この儀式を見に行って我が民族の伝統文化を守りたいと思います。お供え物の準備や、祈祷師の言葉・動作など、儀式のやり方などをちゃんと覚えたいと思ってメモにしました。このメモはこの伝統の保存に役立つと思います。」
儀式後、村人は地酒の壺の周りに座ってお酒を飲みながら、民謡を歌ったり、踊ったりします。その意味で、壺を祀る儀式は、その家族のイベントであるだけでなく、村の重要なイベントでもあります。