クアンニン省のカオラン族 民族衣装の保存に取り組む
(VOVWORLD) - ベトナム東北部に居住している少数民族カオラン族は、女性が着ると蝶々のようになるという民族衣装の美しさでよく知られています。こうした民族衣装は今もなお、カオラン族の人々に大切にされています。
カオラン族は、サンチあるいはサンチャイ族などとも呼ばれています。2019年の国勢調査によりますと、その人口は20万人で、大部分はトゥエンクアン省、タイグエン省、バクザン省、クアンニン省などに住んでいます。クアンニン省では、バチェ県に集中的に住んでおり、この県のカオラン族の女性はお祭りやお正月などに必ず民族衣装を着ます。
カオラン族の女性の民族衣装は、「プ・ザン・ジン」(Pu dan dinh)と呼ばれています。それはカオラン族の言葉で、「蝶々の衣服」という意味で、蝶々のように美しくなりたいというカオラン族の女性の願望の表れです。この民族衣装は、ドレス、ブラウス、ズボン、そして、頭にかぶる頭巾一式を含みます。これらのベースとなる色は藍色。スカーフは長さ2メートル、幅40センチの布で、長い髪を後ろにたばねてまるまげを結った髪を覆います。
ドレスはひざ下まであり、ちょっと太めです。ドレスの特徴は、服のすそ部分に白い四角い布がついていることと、胸の部分にも白い四角い布と黒い四角い布がついていることです。黒い四角い布には、カオラン族ならではの刺繍が施されます。この刺繍は、女性が自分で施すものであり、その女性の器用さを示すものでもあります。バチェ県の文化担当者ヴィ・ティ・トゥエンさんは次のように話しました。
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「カオラン族の民族衣装は、人間の姿や花、草、太陽などの独特な模様が刺繍され、これらの模様は農作業が人間の生活に密接につながることを物語るものです。また、正方形と星の形をした模様もあります。正方形は地上を象徴しており、これらの模様は、天と地とのつながりを表わしています。」
カオラン族の人々は女性の民族衣装に施される模様を誇りにしており、幼い頃から女の子にこれらの模様の刺繍を教えます。バチェ県タインソン村に住むルク・ヴァン・ビンさんは次のように話しました。
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「カオラン族の民族衣装に施される模様はすべてに、意味があります。その中で、鶏や馬など、カオラン族の人々にとって貴重な動物の形をした模様の他、豊作を象徴する模様もあります。」
民族衣装の一部であるドレスはボタンがないので、赤のリボンと青のリボンの2本で結びます。長くて派手なこの2本はドレスをより引き立てます。一方、ブラウスは白か赤だけで、地味な美しさです。カオラン族の習慣では、女性は結婚するとき、ブラウスを着なければなりません。もし着ていなければその人は再婚した人とみられます。そのため、新婚の女性ならば、ブラウスは欠かせないものです。先ほどのルク・ヴァン・ビンさんは次のように話しました。
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「未婚の女性は胸の部分を完全に覆うブラウスを着なければなりません。ブラウスは四角いですが、あごの近くまで延びていて、ちょっと垂れる感じ。これは「覆う」ことを象徴する意味です。」
民族衣装は今もなお、村の行事でよく着用されていますが、伝統文化を守る意味で自分で作った民族衣装を毎日着ているカオラン族の女性もいます。