クホ族の石でできた楽器


ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に居住しているクホ族の楽器の中で、最も長い歴史があるのは石でできた楽器「ダン・ダ」です。この「ダン・ダ」は、村の祭りや行事などでよく使われ、クホ族の信仰生活に欠かせないものです。

クホ族の石でできた楽器 - ảnh 1
石でできた楽器ダン・ダ

1930年代、テイグエン地方の南部とその周辺で、石でできた楽器がたくさん土の中から発見されました。その中で、最も多く発見されたのが、クホ族の主な居住地ラムドン省です。研究者たちによりますと、クホ族はテイグエン地方に住む各民族の中で、石で楽器を作った最初の民族の一つです。クホ族の人々は最初、鳥や動物が田畑を食い荒らすのを守るため、この石の音を使って鳥や動物を追い払いました。その後、この石の数本を並べて叩くと、美しい音色を出せることを発見したクホ族の人々は「ダン・ダ」を作って、よく行事に使用しました。

(ダン・ダの音)

クホ族の「ダン・ダ」は、3本、6本、9本からなるものが一般的です。クホ族の人はいい音が出る石を選んで、削ったり磨いたりして形の順に並べます。こうした素朴な石でできたダン・ダは大自然の音を出す楽器として有名です。ダン・ダの演奏者クザンさんは次のように話しています。

(テープ)

「この楽器は、大きさの違いによって6種類に分けられますが、それぞれ、音域が異なります。高原の山の風のように壮大な感じを与える音が出せるダン・ダもあれば、水が石の間にさらさらと流れるような音が出せるダン・ダもあります。」

クホ族の石でできた楽器 - ảnh 2

現在、ダン・ダは依然として、クホ族の祭りや行事などでよく使われます。特に、新米祭りや新築祝いの行事などに欠かせないものです。クホ族は、神様はダン・ダの音が聞こえるので、その音は行事に神聖さを与えると考えています。そして、お祭りでは、ダン・ダの音が他の楽器の音と混じると、じっとしていられず、踊り出したい気分になるとよく言われています。クホ族の人々にとって、ダン・ダの音は、先祖の声、大自然の音、人間の心を揺さぶるものです。テイグエン地方のダン・ダの研究者グエン・タムさんは次のように話しています。

(テープ)

「ダン・ダの音はとても特別です。叩くと、大自然のメロディーと合わせるような気がします。その音が大自然の中で響くと、私たちは昔々の大自然に戻ったような気がします。大自然の響きを届けるようなのがダン・ダなんです。」

現在、ダン・ダはクホ族の日常生活でも信仰生活でも重要な存在であり続けています。クホ族のことを理解するためには、まずダン・ダの演奏を聴くのが重要だとよく言われています。


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